著者
眞砂 薫
出版者
近畿大学教養・外国語教育センター
雑誌
近畿大学教養・外国語教育センター紀要. 外国語編 (ISSN:21856982)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.111-128, 2012

[要約]国際化する世界の中で、外国語学習者にとって母語と外国語は対立する存在に見える。しかし人間は言語を使って思考し学習するので、言語の違いを越えた共通基盤として、学習者が思考し学習するための学習言語能力が仮定されうる。学習言語能力(Cognitive Academic Language Proficiency: CALP, 以下CALPとする)というべきものを仮定すれば、学習者の母語と外国語の違い以上に、学習に必要な基盤であるCALPの養成が重要となる。しかしCALPの重要性はこれまで十分には評価されなかった。その理由として、第1に、言語運用能力を考える場合、「日常生活における最低限度の会話能力」と、「情報整理や論理的思考に必要な学習言語能力」を区別して考えなかったことがある。第2に、日本では外国語学習に関して、日常生活での最低限度の会話能力こそが外国語運用能力と考えられてきた。この考えは、英語教育では英語覇権主義とネイティブ神話(英語教育における母語話者への過剰な信頼)によって強化されてきた。これは「外国語としての英語(EFL)教育」と、「第2言語としての英語(ESL)教育」の混同である。日本の外国語教育環境はEFL型であり、ESL型ではない、という認識の欠如であった。本論は、CALPの重要性を考察したうえで、日本における外国人学習者(韓国人ニューカマー児童)の学習支援問題についての調査を紹介し、比較しながら日本の大学英語教育の問題点を考える。そしてCALPを考慮した教育方略が必要であることを提言する。また外国人学習者支援と日本人の英語教育は、無関係または正反対のものではなく、CALPという観点に立てば、両者は表裏一体であり、学習者には母語を使ったCALP力の養成が優先してなされるべきであることを結論とする。著者専攻: 言語哲学・英語学

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CiNii 論文 -  学習言語能力(CALP)の重要性 https://t.co/NqgmJ6EMX2

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