著者
水内 豊和 島田 明子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.131-142, 2016

高校における発達障害のある生徒の特徴やとらえ方に対する教師の意識を明らかにするため,全国から無作為抽出した普通科と専門科,計794校を対象に質問紙調査を実施した。回収数は128校(16.1%)であった。調査の結果,発達障害の診断のある生徒は,普通科・専門科にかかわらずアスペルガー症候群がもっとも多かった。また生徒のネガティブな特性項目であっても,それが学校生活上の不利益になっているかどうかや,それが個性として尊重されるかどうかは,普通科・専門科の教員による違いがみられた。これは,普通科と専門科の学習内容や学習形態の違いに起因すると考えられ,普通科の教員は認知特性に凸凹がある生徒の困り感に気付きにくく発達障害のある生徒の存在を認識しても適切な支援ができていないこと,優れた側面を持っている2Eといった生徒の存在自体の認識や能力の引き出し方に対するアプローチが低いことが示された。

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