著者
久保田 真功
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.49-61, 2011

本研究の目的は,暴走族マンガの分析をもとに,マンガに見られる暴走族の下位文化を明らかにし,青少年が暴走族マンガに惹かれる理由について検討することにある。分析を行った結果,①主要登場人物は,アイディンティティ獲得のツールとしてバイクを消費していること,②暴走族内には確固たる上下関係と,構成員が従うべき掟が存在すること,③主要登場人物の多くは暴走族引退後に社会復帰を果たしているとともに,現役の暴走族に教育的な働きかけをしていること,などが明らかとなった。これらの結果を踏まえ,マンガに見られる暴走族が,ドリフト理論で知られる Matzaの主張する非行少年像に類似していることを指摘した。そして,青少年は,暴走族の姿に Matzaが言うところの「隠れた価値」(subterranean values)を見出すことによって,登場人物の姿に共感し,暴走族マンガを好んで読んでいるものと考察した。
著者
上山 輝 山田 奈都美
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.177-187, 2009

本論は,デジタルコンテンツの分析方法を探るための研究の基礎を構成するものである。コンテンツの質的評価を想定した場合,定性的な特徴をどのようにとらえるかについては,ユーザまたは鑑賞者それぞれの個人差が大きく,主観的な見方を総合しただけでは捉えにくい。従ってユーザがコンテンツと接する状況を網羅するような質的評価を目指す前に,まず特定の定性的な特徴に限定してコンテンツの質に影響する諸要因を考える必要があると考える。ただし,映画,音楽,演劇などは,それぞれのジャンルによって定性的な特徴が複合的に出現する(コメディ映画の感動シーンを総合的な評価から分離できるか,など)。これらの複雑さに取り組む前段階として,本論では定性的な特徴を「笑い」に限定し,落語,漫才,コントなどの「笑芸」のうち,「コント」に焦点をあてて,一組のユニットの作品群を題材として,笑いとの関係について考察するものである。
著者
田上 善夫
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.169-194, 2010-11

本論では,風の祭祀にかんして,まず現在の実態を明らかにする。とくに風の祭祀の分布密度の高い,信越地方とその周辺を例として,特色のある民間行事をとりあげる。こうした風の祭祀について,とくに以下の3点から分析を加える。まず共通点の多い,信州とくに諏訪周辺の風の祭祀からの分析である。次に記紀に始まる古文献にみられる風の祭祀からの分析である。さらに風の三郎とかかわりの深い,全国に進出した諏訪信仰からの分析である。最後にこれらの分析に基づいて,風の祭祀にみられる風の観念について,検討を試みる。
著者
上山 輝 山田 奈都美
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.177-187, 2009-03

本論は,デジタルコンテンツの分析方法を探るための研究の基礎を構成するものである。コンテンツの質的評価を想定した場合,定性的な特徴をどのようにとらえるかについては,ユーザまたは鑑賞者それぞれの個人差が大きく,主観的な見方を総合しただけでは捉えにくい。従ってユーザがコンテンツと接する状況を網羅するような質的評価を目指す前に,まず特定の定性的な特徴に限定してコンテンツの質に影響する諸要因を考える必要があると考える。ただし,映画,音楽,演劇などは,それぞれのジャンルによって定性的な特徴が複合的に出現する(コメディ映画の感動シーンを総合的な評価から分離できるか,など)。これらの複雑さに取り組む前段階として,本論では定性的な特徴を「笑い」に限定し,落語,漫才,コントなどの「笑芸」のうち,「コント」に焦点をあてて,一組のユニットの作品群を題材として,笑いとの関係について考察するものである。
著者
林 衛
出版者
富山大学
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.81-91, 2006-12-14

2006年4月,富山大学人間発達科学部に,科学技術社会コミュニケーション研究室が誕生した。いままでの科学教育が,専門家養成のために体系化された科学知識のダイジェスト版を初等中等教育に提供するものであるとみるならば,ここに提案する新しい科学教育は,市民社会のさまざまな場面で,問題提起や判断,意思決定を保証できる能力の獲得をめざしている点が特徴的で,補足的だといえよう。地域をベースに有効な科学コミュニケーション手法の研究・開発を進めるとともに,科学の文化をスポーツや政治などのほかの文化と比較しながら,分析し,育んでいく研究・実践の舞台として,人間発達科学部には好条件が揃っている。
著者
野田 秀孝 後藤 康文
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.117-127, 2013

我が国のソーシャルワークは,1990年代の社会福祉基礎構造改革から,大きな転換期を迎えている。従来の,社会福祉の各法による属性や課題に個別的に対応する方法から,地域を基盤とする総合的かつ包括的な方法への転換であるといえる。従来の各法における社会福祉の実践では,入所施設における処遇を中心に社会福祉実践が行われており,地域を基盤とした社会福祉実践は重要視されてこなかった。制度的には,介護保険制度における地域包括支援センターなどにおける相談支援・支援事業や障害者自立支援制度における障害者の地域移行事業,相談支援事業などであり,児童,高齢者,障害者領域での虐待防止などで,市町村を核とし,より小さな単位である地域において,地域住民を巻き込んだ形での支援体制の強化・充実が重要視されている。本稿では障害福祉分野の施策である援費制度,障害者自立支援法,障害者総合支援法といった各法制度の成立背景や法のねらいに焦点をあて,制度的ソーシャルワークの機能や課題について述べ,コミュニティ・ソーシャルワークについて考察する。
著者
平川 毅彦
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.43-51, 2006-12

大規模化・複雑化した現代社会において、何らかの理由により生じた生活困難・生活課題を側面から支援し、個人の発達・成長を最大限まで促そうとする現代的試み。それが最も限定された意味での社会福祉である。この社会福祉という支援活動を展開するために、日常生活から引き離された「全制的施設」(“Total Institution”, Goffman,1961)ではなく、「ふつうの生活」が展開される場所としての地域社会はいかにして可能か。そして、特定少数の人々だけではなく、すべての住民にとって暮らしやすい地域社会とはどのようなものか。それが今日の「福祉のまちづくり」に求められている課題である。ところで、日本社会における「福祉のまちづくり」の源流は、高度成長期の仙台市にあるとされている。施設のみで完結する生活に不満を持つ身体障害者と学生ボランティア、そして彼らを支援するソーシャルワーカーによる最初の一滴から始まり、専門家と住民参加を旨とする当時の島野仙台市政(1958年~1984年)と結びつくことで拡がりを持ち、その活動成果はマスコミにより全国に紹介された。また、こうした活動成果が評価され1973 (昭和48)年7月には厚生省(当時)による身体障害者福祉モデル都市指定による整備が行われ、さらに同年9月には「福祉のまちづくり、車いす市民交流集会」が開催、全国から車いす利用者が仙台を訪れ、そこでの経験は日本全国へと広まり定着した。本研究では、この仙台市における「福祉のまちづくり」に関して、残された資料等をもとに、主にその源流部分を再構成する。そして、こうした作業を通じて、「福祉」と人間の成長・発達を巡って解決されなければならない課題がどのようなものであるのか明らかにしていきたい。
著者
西館 有沙
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.125-130, 2016

保育者の職務中のマスク着用は,感染症対策という面からみれば必要な対応であるが,子どもの健全な心身の発達を促す保育を行う際の影響の有無にも,留意する必要がある。そこで本研究では,保育者のマスク着用状況やマスク着用に関する認識を明らかにするため,保育者に対する質問紙調査を実施した。質問紙は107部を回収し,そこから看護師や障害児施設に勤務する保育士の回答を除いた90部を分析対象とした。保育者は自身が風邪等をひいている時(94%)や病気が流行している期間(70%)にはマスクを着用すべきであると考えており,そのような時にはマスクを着用していた。一方,6割を超える保育者がマスクの着用によって困った経験があるとした。その理由としては,声が届きにくいことや保育者の表情が子どもに伝わりにくいことが多く挙がった。また,保育者はこれらによって保育に支障が生じると考える傾向にあった。
著者
山田 斗志希 上山 輝
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.93-103, 2020

本来,ビデオゲーム(以下「ゲーム」)とは,コンピュータを応用したインタラクティブな遊びを探求・追求するデジタルコンテンツである。このため,悪役は必要ないはずであるが,現在ではゲームのストーリーに悪役が登場する状況は当然になっている。この状況に至った通説として考えられるのは,主にハードウェアの発展の影響を加味した議論であるが,悪役といった定性的な要素と強く関連するのは,むしろソフトウェアの発展ではないだろうか。そこで本稿では,対戦相手の変容とストーリーの定着過程に注目してゲームの歴史を構築し,それに基づいて,対戦相手が悪役へと至るプロセスと開発者たちのクリエイティビティとの関係について考察を行った。
著者
山田 斗志希 上山 輝
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.285-295, 2019

本稿は,5つのコンテンツ形態(映画・アニメーション・ゲーム・小説・漫画)における物語に登場する250体の悪役の発言の分析を行った結果をまとめたものである。悪役の発言はすべてテキストデータとして扱い,分析は,テキストマイニングを使った「共起ネットワーク分析」と「クラスター分析」を行った。その結果,発言によって分類されたクラスターと個々のクラスターの悪役の特徴とに関連性が見られた。また物語の作り手がどのように悪役を作っているのかについて分析結果をもとに考察した。
著者
田上 善夫
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.169-194, 2010

本論では,風の祭祀にかんして,まず現在の実態を明らかにする。とくに風の祭祀の分布密度の高い,信越地方とその周辺を例として,特色のある民間行事をとりあげる。こうした風の祭祀について,とくに以下の3点から分析を加える。まず共通点の多い,信州とくに諏訪周辺の風の祭祀からの分析である。次に記紀に始まる古文献にみられる風の祭祀からの分析である。さらに風の三郎とかかわりの深い,全国に進出した諏訪信仰からの分析である。最後にこれらの分析に基づいて,風の祭祀にみられる風の観念について,検討を試みる。
著者
林 衛
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.119-131, 2013-03-15

東日本大震災・原発震災は,市民社会における科学や科学者のあり方を見直す機会となった。日本の市民社会には原発震災の未然防止はできなかったが,震災後に発揮された「超専門力」「市民科学リテラシー」によって,政府や御用学者からの偏った情報提供を批判的に受け止めるのに成功した面もあった。理科離れは「文系人間」の科学リテラシー不足の問題としてしばしば語られるが,より重要なのは「理系人間」が異分野への知的好奇心を磨きつつ自らのリテラシーの再点検・向上に努め,自由に科学を論じられる社会的な雰囲気づくりに貢献することだろう。
著者
加藤 征江 小前 佳代 福本 三紀
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.39-47, 2008

The purpose of the research is to clarify the influence of preservation conditions on the deterioration of the vegetable oils used in daily life.Each of iodine value for five kinds of vegetable oil, that is, salad oil, olive oil, sesame oil, corn oil, and soy bean germ oil was obtained by the experiment, because iodine value shows the degree of unsaturated fatty acids as the constituents of lipid, and it seems to relate to the deterioration of oil. Then, the changes of the deterioration for five kinds of vegetable oil which were put on the preservation of eight weeks at a constant temperature of 60℃ were examined every week by the rate of weight increase (%), peroxide value (POV) and acid value (AV).Furthermore, both samples of salad oil used in frying the sliced potato and an unused salad oil were put on the place of sunlight irradiation and the shade, and were examined every week by peroxide value.As the result, it was concluded that the preservation conditions of a lower temperature and the shade place were extremely important in the preservation of vegetable oils.
著者
田畑 弾 田上 善夫
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.71-77, 2007-02

富山県の平野部各地に見られるスギなどの高木で家屋の周りを囲む屋敷林は、富山県の特徴的な景観であり、たとえば青山ほか(2000)においても、気候景観として特徴的なものとされている。また、小川(2001)の「井波風」も、岩田(1999)の 、富山市大沢野地区における不吹堂の分布も、どちらもフェーン現象に伴う高温で強い南成分を持った風を対象としており、日本海に低気圧が存在することによって吹く強風を仮定して論じているが、実際のフェーン現象は、台風がトリガーとなって発生する強風であることも多い。富山県の中でも有数の伝統行事である、富山市八尾町の「おわら風の盆」の、厄を払う対象となっている「大風」も、開催時期の関係を考慮すると、低気圧性のフェーンよりもむしろ、台風によるフェーン現象による「大風」であると考えることができる。また、この行事は、田口(1941)の 風祭の一種とも考えられる。富山県の平野部の市街地では、フェーン現象によって大火事がたびたび発生しており、たとえば、1956年の台風12号による魚津大火は、死者を多数出し、市街地が全滅した大災害である(たとえば、読売新聞社、2006)。魚津市では後に、これを教訓に防火地域を設定し、火災に強い街づくりを進めている。本稿では、1981~2000年 における台風の位置と富山県における強風の関係を解析したものである。富山県の強風については、吉野・福岡(1967)の気圧配置型を用いた気圧配置ごよみ(吉野・山川、2002)を用いてⅥ型(台風型)に分類された日の強風に関して、また他の型であっても台風を伴う風と判断した事例を用いた。
著者
椚座 圭太郎 田上 翔子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.107-133, 2011-10 (Released:2016-02-15)

本研究では,小学生,大学生,大学院生に対して地球温暖化と原子力発電に関するアンケート調査を行い,次世代の日本人の批判的思考力あるいは科学リテラシーの現状を明らかにし,今後のあり方を考察することにした。
著者
嶋田 愛 千田 恭子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.75-91, 2008

現在,わが国のクラシックの演奏会における西洋声楽曲のレパートリーは幅広い。その中でも,ドイツリートやイタリア歌曲,イタリアオペラに馴染みが深いように感じるが,ここに至るまでにわが国の西洋声楽曲のレパートリーはどのように変化してきたのだろうか。 本論では,明治以来のわが国の近代化と共に歩んできた西洋声楽曲のレパートリーの移り変わりについて明らかにする。方法としては主に,現在の東京藝術大学の前身,東京音楽学校で行われた各種コンサートの資料を用い,その中から独唱曲として演奏されている西洋声楽曲について調査する。また,時期としては日本人によって初めて西洋声楽曲が演奏された明治29年から東京藝術大学設立までの約55年間を,時代を追って扱うものとする。
著者
Cocteau Jean 千田 恭子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.117-128, 2007-02

コクトー(Cocteau,」1889~ 1963)の戯曲をもとにプーランク(Poulenc,F1899~1963)が作曲したモノオペラ『人間の声』(1958年作曲、1959年初演。戯曲としての初演は1930年)に私が初めて巡り会ったのは、もう25年も前のことである。フランス語は全くわからないにもかかわらず、後々まで印象に残ったことを覚えている。2002年に同作品を原語で演奏する機会を得た(2002年6月、愛知県名古屋市守山文化小劇場、演出:伊藤明子)。オペラの台本はコクトーが書いた戯曲全てではなく、作曲家のプーランクと初演時に唯一人の登場人物を演じたソプラノ歌手、ドウエーズ・デュヴアル(Duval,D1921~)が検討を重ねてカットを施したものである。その台本によるオペラの初演の時、コクトーは演出と舞台装置を担当し、「親愛なるフランシス、君は僕のテキストを『朗誦』する方法を見つけてくれた」という讃辞をプーランクに書き送ったという事を知り、カットされた部分は気にせず、台本テキストを読み込み、人物像を描き、自分なりの舞台を作り上げることができたと思っていた。2004年、ジェシー・ノーマン(Norman,」1945~ )が来日し、この作品を演じた。残念ながら生の舞台を観ることはできなかったが、後日、NHKの教育テレビでライブ映像が放送された(2004年8月、芸術劇場)のを観て、役作りと表現の差を痛烈に感じたのである。演出そのものの違いなのか、アメリカ人と日本人の持うている性格の差なのか、他に何か理由があるのか…。もちろん、それらの全てに原因があるのであろう。そこで、役創りの差がどこから発生するのか理由を探し出そうと戯曲そのものの翻訳を試みることにした。『人間の声』の翻訳はコクトー全集② に収められている。そこで私は、声楽家が役作りの追求のため、プーランクのオペラの原作を研究するという立場で翻訳を試みることにした。恋人に捨てられた女は前夜睡眠薬自殺をしようとし、一命を取り留めて苦悩の1日を終えた。死体のようにうずくまる女の部屋に電話のベル。5年間の愛の生活を捨てて3日前に去って行うた男からの最後の電話。男は明日、別の女と結婚するらしい。男とかわす最後の会話。それがオペラの全てである。電話の相手は姿を見せることはなく、声さえも観客に聞かせることはない。プーランクとデュヴアルがカットした部分にはどのような人物像が描かれているのかを探りつつ、楽譜に込められたプァランクのメッセージと対比しながら翻訳すことによって、オペラ作品としての『人間の声』の新しい魅力を発見したいと思う。
著者
西田谷 洋
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.59-66, 2017

As part of the Haruki Murakami studies, I take up Makoto Shinkai,s anime with deep Haruki novel and relation, arrange the Shinkai style, analyze correspondence with each anime and the Haruki's novel, and consider Makoto Shinkai's novel, the relation of anime, and the locus of anime.