著者
伊藤 茂樹
出版者
佛教大学仏教学部
雑誌
仏教学部論集 = Journal of School of Buddhism (ISSN:2185419X)
巻号頁・発行日
no.100, pp.51-70, 2016-03

法然と同時代に生きた僧として明遍がいる。明遍は南都の学僧であったが、光明山寺また高野山に遁世し、やがて蓮華谷聖の祖とされる。法然と明遍は、散心問答という念仏法語があり、双方での交渉が確認される。しかし、『今物語』にみえる説話や、法語類を丹念にみていくと、法然系の浄土教と一致しない側面が多い。一方で重源との関係は、明遍が空阿弥陀仏という阿弥陀仏号をもつことからも、その関係は浅くない。高野聖や光明山寺系の聖の活動や思想的な側面は、祈祷念仏という要素は含みつつも、臨終に執着を起こさず正念にして来迎に預かるという平安浄土教。すなわち『往生要集』を規範とした価値観にあった。唱導、勧進で活躍する浄土聖の活動は『往生要集』を理想としたものである。本稿ではそのような聖の活動を分析しつつ、明遍と蓮華谷聖の活動を解明することに主眼をおいている。明遍浄土聖『往生要集』勧進臨終行儀

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