- 著者
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大喜多 紀明
- 出版者
- 北海道言語研究会
- 雑誌
- 北海道言語文化研究 (ISSN:18826296)
- 巻号頁・発行日
- no.14, pp.45-72, 2016
従来、裏返し構造は、異郷訪問譚に見いだされる構造とされてきた。本稿では、異郷訪問譚の形式ではないアイヌの口承文芸である「ポヌンカヨ-88」・「いびきの話-89」・「人食いおばけ」・「氷の上で」をテキストとし、裏返し構造を援用する観点からの分析を行ったところ、これらは裏返し構造による構成であることが確認できた。異郷訪問譚の形式ではない物語に裏返し構造が見いだせた事例を示す報告としては本稿が最初のものである。