著者
中島 弘至
出版者
関西大学教育開発支援センター
雑誌
関西大学高等教育研究 (ISSN:21856389)
巻号頁・発行日
no.7, pp.91-103, 2016-03

新卒労働市場において就職のミスマッチが叫ばれて久しい。入職後3年以内の離職率が約3割にものぼる。どうしてだろう。周到な企業研究から学生は就職先を決めたのではなかったか。確かに非正規雇用が社会問題化する昨今、正規の職を得るには多くの困難が伴う。一方で60年以上の歴史を持ちながらも、頻繁に見直される就活ルールの存在はどうか。守るといっては守らないルールを長年にわたり堅持してきた。そしてルール違反は未だに絶えないのである。本稿は、近年、学校選択制などで検討されるマッチングモデルが、採用(就職)活動の場でも機能するかを検証する。そして機能するならば、それが就活ルールの不遵守などの条件が変化した場合、どのように公平さを歪めるかを確認するものである。分析の結果、ルールが遵守される場合は企業と学生双方にとって望ましいマッチングが実現する可能性が高くなる。かたや企業がルール違反により早い時点で学生を囲い込むと、健全なマッチングは実現されず、かつ早く動いた企業の利得は増える。さらに様々なシミュレーション結果を踏まえると、ルールを正しく運用することが学生の利益にかなうことが理解できる。

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