- 著者
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宮坂 靖子
- 出版者
- 奈良大学総合研究所
- 雑誌
- 総合研究所所報 (ISSN:09192999)
- 巻号頁・発行日
- no.23, pp.69-84, 2015
本稿の目的は、中国の都市中間層で増加している専業主婦の実態を把握し、中国の専業主婦規範の特徴を明らかにしたうえで、中国と日本の専業主婦規範の差異を考察することである。2013年10月~ 11月にかけて、遼寧省大連市内において9 名の専業主婦に対してインタビュー調査を実施した。 本稿で明らかになったことの第一は、中国の都市中間層で生じている専業主婦化は「専業母」化であり、調査対象者たちは子育て期は子育てに専念するが、子育て後の再就職を望んでいた。第二に、調査対象者たちは「専業母」であっても、母親が単独で育児を担当するのではなく、親族からの育児サポート、市場の家政サービスを活用しながら、母親役割を遂行していた。このような中国の「専業母」規範は、日本の「三歳児神話」とは異なっており、「専業母」化という同じ現象であっても、どのような育児行為を愛情の表出とみなすかという情緒規範は日中間で異なることが明らかになった。