- 著者
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周 玉慧
深田 博己
- 出版者
- 対人コミュニケーション研究会
- 雑誌
- 対人コミュニケーション研究 = The Japanese journal of interpersonal communication (ISSN:21874433)
- 巻号頁・発行日
- no.3, pp.1-18, 2015-03
本研究では、欺瞞的コミュニケーションに着眼して、夫婦間に発生する欺瞞動機と欺瞞方略を測定する尺度を作成し、結婚生活の質に及ぼす欺瞞動機と欺瞞方略の影響を検討した。229組の台湾人夫婦を対象とし、5因子の欺瞞動機(関係促進、関係維持、面子保護、利己的目的、雰囲気操作)、4因子の欺瞞方略(脚色、はぐらかし、偽装、隠蔽)、および充実度と後悔度の2側面の結婚生活の質の評価を求めた。確証的因子分析の結果により、仮定された欺瞞動機と欺瞞方略の因子が実証された。結婚生活の質は欺瞞動機や欺瞞方略によって異なり、結婚生活の質に対して、関係促進動機、関係維持動機あるいは脚色方略は好影響、利己的目的動機あるいははぐらかし方略、隠蔽方略は悪影響を及ぼすことが見出された。また、充実度に及ぼす欺瞞動機と欺瞞方略の交互作用が見られ、限定効果と緩和効果に類似したパターンが示された。