著者
周 玉慧 深田 博己
出版者
対人コミュニケーション研究会
雑誌
対人コミュニケーション研究 = The Japanese journal of interpersonal communication (ISSN:21874433)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-18, 2014-03

本研究ではサポートの "送り手-受け手" と "能動-受動" の観点から、二者関係である夫婦間のサポートの交換過程を検討した。452組の台湾人夫婦を対象とし、情緒的、道具的、助言的サポートの3種類のサポートの要求量・被要求量・提供量・受け取り量、6因子のサポート獲得方略 (脅し、他者利用、婉曲表現、報酬提供、哀願、理性的訴え) の使用度・被使用度、および充実度と後悔度の2側面の結婚の質の評価を求めた。二次因子分析の結果により、サポート獲得方略は強硬と柔軟の2つの高次因子にまとまった。また、夫婦間差異に関しては、夫に比べ妻の方はサポート要求量、脅し、他者利用、婉曲的表現、哀願や理性的訴えの方略使用度、強硬方略や柔軟方略の使用度が高く、妻に比べ夫の方はサポート被要求量、脅しと哀願の2方略の被使用度および結婚の充実度が高いことが見出された。最後に共分散構造分析の結果から、妻よりも夫の認知の方の重みが大きいことが示され、サポート要求、サポート獲得方略の使用、サポート受け取りおよび結婚の質の間のパス関係が解明された。
著者
平川 真 森永 康子
出版者
対人コミュニケーション研究会
雑誌
対人コミュニケーション研究 = The Japanese journal of interpersonal communication (ISSN:21874433)
巻号頁・発行日
no.2, pp.19-30, 2014-03

本研究の目的は、間接的要求を使用することによって、使用者の目標は達成できるのかどうかを検討することであった。検討対象となった使用目標は、平川・深田・塚脇・樋口(2012)が整理した、他者配慮、応諾獲得、明確拒否の回避、印象管理、申し訳なさ伝達、の5つである。大学生80名を対象に、直接的要求、丁寧な要求、そして間接的要求によって頼み事をされるシナリオを用いた実験を行った。それぞれの目標の達成と関連する、感情、認知、行動意思を測定し、間接的要求を基準条件、直接的要求と丁寧な要求を比較条件とした条件間比較を行った。その結果、直接的要求と比べた場合、間接的要求の使用は応諾獲得以外の目標を達成することが示された。しかしながら、その効果は丁寧に頼む場合よりもおおむね低く、他者配慮、応諾獲得、印象管理に関しては、間接的要求よりも丁寧な要求を使用した方が目標を達成できることが示された。したがって、平川他(2012)が整理した目標の達成という観点からすれば、間接的要求ではなく丁寧な要求を使用することのほうが望ましいといえる。
著者
周 玉慧 深田 博己
出版者
対人コミュニケーション研究会
雑誌
対人コミュニケーション研究 = The Japanese journal of interpersonal communication (ISSN:21874433)
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-18, 2015-03

本研究では、欺瞞的コミュニケーションに着眼して、夫婦間に発生する欺瞞動機と欺瞞方略を測定する尺度を作成し、結婚生活の質に及ぼす欺瞞動機と欺瞞方略の影響を検討した。229組の台湾人夫婦を対象とし、5因子の欺瞞動機(関係促進、関係維持、面子保護、利己的目的、雰囲気操作)、4因子の欺瞞方略(脚色、はぐらかし、偽装、隠蔽)、および充実度と後悔度の2側面の結婚生活の質の評価を求めた。確証的因子分析の結果により、仮定された欺瞞動機と欺瞞方略の因子が実証された。結婚生活の質は欺瞞動機や欺瞞方略によって異なり、結婚生活の質に対して、関係促進動機、関係維持動機あるいは脚色方略は好影響、利己的目的動機あるいははぐらかし方略、隠蔽方略は悪影響を及ぼすことが見出された。また、充実度に及ぼす欺瞞動機と欺瞞方略の交互作用が見られ、限定効果と緩和効果に類似したパターンが示された。
著者
平川 真 森永 康子
出版者
対人コミュニケーション研究会
雑誌
対人コミュニケーション研究 = The Japanese journal of interpersonal communication (ISSN:21874433)
巻号頁・発行日
no.2, pp.19-30, 2014-03

本研究の目的は、間接的要求を使用することによって、使用者の目標は達成できるのかどうかを検討することであった。検討対象となった使用目標は、平川・深田・塚脇・樋口(2012)が整理した、他者配慮、応諾獲得、明確拒否の回避、印象管理、申し訳なさ伝達、の5つである。大学生80名を対象に、直接的要求、丁寧な要求、そして間接的要求によって頼み事をされるシナリオを用いた実験を行った。それぞれの目標の達成と関連する、感情、認知、行動意思を測定し、間接的要求を基準条件、直接的要求と丁寧な要求を比較条件とした条件間比較を行った。その結果、直接的要求と比べた場合、間接的要求の使用は応諾獲得以外の目標を達成することが示された。しかしながら、その効果は丁寧に頼む場合よりもおおむね低く、他者配慮、応諾獲得、印象管理に関しては、間接的要求よりも丁寧な要求を使用した方が目標を達成できることが示された。したがって、平川他(2012)が整理した目標の達成という観点からすれば、間接的要求ではなく丁寧な要求を使用することのほうが望ましいといえる。
著者
木村 堅一 深田 博己
出版者
対人コミュニケーション研究会
雑誌
対人コミュニケーション研究 = The Japanese journal of interpersonal communication (ISSN:21874433)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-16, 2013-03

本研究の目的は、エイズキャンペーンへの参加が、参加者のエイズに関する意識改善にどのような効果を生じさせたかを検討することであった。大学生92名をエイズキャンペーン参加群65名と不参加群27名に配置し、キャンペーンの前後でエイズに関する意識を同じ質問紙によって測定した。その結果、36変数中5変数で変化が認められた。キャンペーン参加群は不参加群よりも、コンドーム使用の規範認知が増加し、HIV感染者・エイズ患者(PWH/A)との共生行動のコスト認知が減少した。また、PWH/Aとの共生行動の報酬認知が増加し、PWH/Aとの共生行動意思が強まった。本研究で取り上げたエイズキャンペーンは、HIV感染予防に対しては目立った効果を生じさせないが、PWH/Aとの共生に対しては特定の効果を持つことが証明された。