著者
守屋 三千代 Michiyo MORIYA
出版者
創価大学日本語日本文学会
雑誌
日本語日本文学 (ISSN:09171762)
巻号頁・発行日
no.26, pp.27-38, 2016-03-20

一般に日本語は「ナル的言語」であると言われ、「ナル表現」への志向性が顕著に見られるが、「ナル的言語」は日本語だけではない。例えば韓国語やトルコ語も「ナル的言語」であり、「ナル」に相当する動詞が存在し、「ナル表現」もよく用いられる。この三言語の「ナル」とナル相当語[tweda, olmak] のうち、日本語と韓国語では主に変化の意味を表すが、トルコ語ではそれ以外に誕生・出現・存在などの意味を表す。こうした意味を現代日本語に求めると、「実がナル」という例しか見当たらないが、『古事記』では神々や国の誕生の場面で誕生・出現の「ナル」が多数観察される。ナル表現

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