著者
坂井 弘紀
出版者
和光大学表現学部
雑誌
表現学部紀要 (ISSN:13463470)
巻号頁・発行日
no.15, pp.33-54, 2014

テュルクの口承叙事詩には、「最初のシャマン」とされるコルクトをはじめ、シャマンがしばしば登場したり、『エル・トシュテュク』に見られるように、英雄叙事詩の主人公にシャマンの姿が投影されていたりする。英雄の愛馬が八本脚であると暗示されることは、世界各地に見られるシャマン的典型の「八脚馬」と見なすことが可能であり、また、叙事詩で馬の毛を焼く場面からは、シャマニズムの呪術で呪的動物を呼び起こす儀式を読み取ることができる。古来のテュルクの伝承では、大地の中心にある、天空までそびえ立つ世界樹が描かれ、そこからはテュルクの聖樹信仰を見ることができる。また、本来シャマンを意味していたバクスという言葉が、のちに叙事詩の語り手を意味するようになったのは、シャマンの言葉が英雄叙事詩へと発展する一方、イスラーム化にともなって、バクスが預言や託宣を行う機会が減少した結果、叙事詩語りとしての役割が重視されたためと考察される。

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