著者
伊藤 創
出版者
関西国際大学教育総合研究所
雑誌
教育総合研究叢書 = Studies on education (ISSN:18829937)
巻号頁・発行日
no.9, pp.39-48, 2016-03

本稿では、Indiana University-Purdue University Indianapolis(IUPUI)にて行った聞き取り調査の中で、特に同校が2008 年から導入したサービスラーニング、スタディ・アブロード、インターンシップ等を包括する枠組みであるRISE program に焦点をあて、その概要を報告する。同大学は、学生数3 万人を超える大規模大学であり、そこでは各学部・学科、それらから独立した部局によって多くのHigh Impact Practice(HIP)が個別に実施されていた。しかし2008 年以降、それらを束ね、共通の構造を持たせ、評価の尺度を学部横断的に通用するものに変える試みがなされており、その枠組みがRISE programである。この共通の枠組みに、既存あるいは新規のHIPを組み込んでいくために、部局間のコミュニケーションを促し、新しいHIP の立ち上げに一定の縛りを設け、その条件を満たしたもののみをRISEとして認めることとしている。また認められたプログラムにはGrant を与えることで、担当教員の動機付けも行っている。プログラムの立ち上げを教員主導にすることにより、教員が自らの担当するコースにおいて最も効果の高いHIP を自らで考案することができ、その実施にも高い動機付けを行うことが可能となっている。RISEにはこうした独自のアイデアが盛り込まれているが、その核となるのは、プログラムの立案や実施のあり方、方針が教員主導で形成され、ボトムアップでHIP の統括者に上げられる一方、各プログラムの形態に縛りを設け、各プログラムに共通の枠組みを持たせるトップダウンの側面も同時に合わせ持つという点であると思われる。

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