著者
沙川 貴大 伊藤 創祐
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本研究では、情報と熱力学を融合させた理論、すなわち情報熱力学に基づいて、生体情報処理の理論的研究を行う。とくに、生体情報処理は本当に熱力学効率が高いのか、といった基本的な問いに答えることを目指す。また、情報理論の分野で注目を集めている「リソース理論」の考え方、さらにはトポロジーの概念を応用することで、狭義の情報熱力学にとどまらない多角的な理論研究を行う。さらに、情報幾何の手法と熱力学を組み合わせることにより、熱力学的な不確定性関係の新しい理論を発展させ、生体情報処理への応用を行う。
著者
室伏 祐介 川上 照彦 伊藤 創
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.731-734, 2019 (Released:2019-12-21)
参考文献数
11

〔目的〕平地や不安定面での片脚立位にて小殿筋筋活動を比較し小殿筋が股関節の安定性に関与しているかを筋電図学的に検証することである.〔対象と方法〕健常成人13名(男性7名,女性6名)を対象に小殿筋と中殿筋にワイヤ電極を留置し,平地,AIREX®上,BOSE®上で片脚立位を行い小殿筋と中殿筋の評価をした.〔結果〕女性では平地に比べ最も支持面が不安定であるBOSE®上において小殿筋筋活動が増加した.また,BOSE®上では男性に比べ女性で活動量が多かった.〔結語〕女性は男性に比べ臼蓋による骨頭の被覆が少なく,重心線から骨頭中心までの距離も長く不安定である.よって,股関節の安定性を保つために小殿筋の筋活動量が男性よりも高かったと思われる.小殿筋は股関節の安定性に重要な働きをしていることが示唆された.
著者
伊藤 創 仲 潔 岩男 考哲 藤原 康弘
出版者
関西国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、構文レベルにおける日・英語の事態描写の違いに焦点をあて、日本語を母語とする英語学習者が、母語での事態描写のあり方に即した形で英語表現を構成できるような、より自然で低負担、効率的な英語学習法を提案しようとするものである。そのために、学習者・教科書データ、英語・国語教科書・教材の分析から、1)日本語母語話者の英語に見られる構文的な特徴、2)それらが日本語のどのような事態把握・描写に基づいているか、3)どのような過程でその描写の「型」が形成されるのか、を明らかにする。その上で、4)日本語母語話者の事態把握の型を生かした形で英語表現が産出できるような教材試案を作成、その効果検証を行う。
著者
岡田 康志 松岡 里実 石島 秋彦 伊藤 創祐 川口 喬吾 池崎 圭吾 澤井 哲 佐々 真一 神原 丈敏 榎 佐和子 竹内 一将 猪股 秀彦 沙川 貴大 青木 一洋 小林 徹也 中島 昭彦 福岡 創
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本領域は、生命現象を分子レベルから定量的に計測する技術の発展と、非平衡系の統計力学・情報熱力学理論の深化を背景とした、両者の融合領域である。生命現象の理解という具体的な課題に対して「情報を力、エネルギーと同列に物理的対象として議論する新しい物理学」を構築することで、生物学と物理学の間の新たな学際領域を開拓する。この目的を達成するために、本総括班は、領域内での生物系の実験研究と物理系の理論研究の学際融合研究を推進する
著者
菊池 蘭 伊藤 創馬 太田 美鈴 日高 慎二 瀧沢 裕輔 栗田 拓朗 中島 孝則
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

【目的】ベルソムラ錠の有効成分であるスボレキサントは、覚醒物質オレキシン受容体を可逆的に阻害する新しい作用機序の睡眠薬である。従来の睡眠薬に耐性ができた患者など広く使用されているが、服用直前にPTPシートから取り出すこととされており、一包化調剤は避けられてきた。そこで、ベルソムラ錠分包品の保存安定性について検討を行った。【方法】ベルソムラ錠をセロポリ製分包紙に分包し、シリカゲル入アルミ袋またはアルミ袋に入れ、25℃60%RHまたは40℃75%RHの条件下で保存した。また冷蔵庫での保存も試みた。4週間後、錠剤の質量、直径と厚みを測定すると共に溶出試験を行った。また各条件下で保存後のスボレキサント含量についてHPLCにて定量を行った。【結果】25℃60%RHならびに40℃75%RHの条件下において、分包後4週間でシリカゲル入アルミ袋に保存したものは錠剤の質量、直径と厚みが減少し、溶出速度の低下が認められた。これに対しアルミ袋中で4週間保存したものでは、やや質量の増加が認められたものの、溶出速度の変化は認められなかった。冷蔵庫内での保存においては、分包したまま保存したもの、アルミ袋中で保存したもの共に質量や溶出速度の変化は認められなかった。加えて、全ての保存条件においてスボレキサント含量の変化は認められなかった。【考察】ベルソムラ錠分包品はアルミ袋中に保存するか、冷蔵庫内で保存することにより安定であり、長期保存が可能であると考えられる。
著者
伊藤 創
出版者
関西国際大学教育総合研究所
雑誌
教育総合研究叢書 = Studies on education (ISSN:18829937)
巻号頁・発行日
no.9, pp.39-48, 2016-03

本稿では、Indiana University-Purdue University Indianapolis(IUPUI)にて行った聞き取り調査の中で、特に同校が2008 年から導入したサービスラーニング、スタディ・アブロード、インターンシップ等を包括する枠組みであるRISE program に焦点をあて、その概要を報告する。同大学は、学生数3 万人を超える大規模大学であり、そこでは各学部・学科、それらから独立した部局によって多くのHigh Impact Practice(HIP)が個別に実施されていた。しかし2008 年以降、それらを束ね、共通の構造を持たせ、評価の尺度を学部横断的に通用するものに変える試みがなされており、その枠組みがRISE programである。この共通の枠組みに、既存あるいは新規のHIPを組み込んでいくために、部局間のコミュニケーションを促し、新しいHIP の立ち上げに一定の縛りを設け、その条件を満たしたもののみをRISEとして認めることとしている。また認められたプログラムにはGrant を与えることで、担当教員の動機付けも行っている。プログラムの立ち上げを教員主導にすることにより、教員が自らの担当するコースにおいて最も効果の高いHIP を自らで考案することができ、その実施にも高い動機付けを行うことが可能となっている。RISEにはこうした独自のアイデアが盛り込まれているが、その核となるのは、プログラムの立案や実施のあり方、方針が教員主導で形成され、ボトムアップでHIP の統括者に上げられる一方、各プログラムの形態に縛りを設け、各プログラムに共通の枠組みを持たせるトップダウンの側面も同時に合わせ持つという点であると思われる。
著者
伊藤 創
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.154, pp.153-175, 2018

<p>一方から他方へ働きかけがなされる事態を描写する際,英語母語話者は働きかけ手(agent)を主語に立てる傾向が日本語母語話者のそれより強い。本研究では,この描き方の型の違いが両者の事態の捉え方の型の違いに根ざしているのかどうかを検証するため,働きかけに関わる事態について,その「次」に起こった事態を想像してもらい,いずれの参与者を主語として描くかを比較した。次の事態を描く際には,当該の事態でより焦点をあてて捉えている参与者について描くのが自然と考えられるからである。結果は,ほぼ全ての画像で英語母語話者のほうが日本語母語話者よりagentを主語に立てる割合が高かった。このことから,1)日英語母語話者の事態の描き方の型の違いは,両者の事態の捉え方の型の違いに根ざしており,2)その違いは,英語母語話者は行為連鎖/力動関係において力の源である参与者に,日本語母語話者は共感度の高い参与者により際立ちを感じやすいという違いであることが強く示唆される。</p>
著者
伊藤 創 葉 清規 松田 陽子 室伏 祐介 川上 照彦
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11772, (Released:2020-08-05)
参考文献数
21

【目的】本研究目的は,肩関節疾患保存例に対して理学療法を行い,初回時の夜間痛の有無における治療経過,また,関節注射による影響を調査し,理学療法の有用性を示すことである。【方法】対象は,肩関節疾患保存例72 例である。初回時の夜間痛の有無で2 群に分類し,また,夜間痛あり群のうち,初診時に関節注射実施の有無で2 群に分類し,治療開始1,3 ヵ月後までROM,動作時VAS,アテネ不眠尺度(以下,AIS)の治療経過の差について解析した。【結果】 夜間痛あり,なし群の経過に交互作用がみられ,夜間痛あり群でROM,動作時VAS,AIS の高い改善度が得られた。また,関節注射併用例で初回から1 ヵ月後で動作時VAS の高い改善度が得られた。【結論】肩関節疾患保存例に対する理学療法により,夜間痛の有無にかかわらずROM,VAS,AIS の改善が得られ,夜間痛を有する場合,関節注射を併用することで早期に疼痛の改善が得られる。
著者
伊藤 創 葉 清規 能登 徹 川上 照彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】肩関節周囲炎とは,加齢的退行性変性を基盤として発生する疼痛性肩関節制動症と定義されており,病態・病因は未だはっきりと確立されていない。肩関節周囲炎の特徴的な症状として,夜間痛が挙げられる。夜間痛とは,夜間に起こる肩の疼痛の事をあらわし,患者の睡眠を妨げることで生活の質を著しく低下させると言われている。夜間痛の臨床的特徴に関して,山本らは65歳未満の女性に多く,肩関節回旋制限例に多いと報告しており,石垣らは,肩関節屈曲制限例に多いと報告しているなど,統一された見解がないのが現状である。本研究の目的は,初回評価時に夜間痛を有する肩関節周囲炎患者に対し,治療経過において1か月後の夜間痛の改善に関連する因子を調査することである。【方法】対象は当院で2014年7月から2015年9月より理学療法介入(運動療法・物理療法等)を行い,調査可能であった片側性肩関節周囲炎患者67例(男性26名,女性41名,平均年齢61.7±12.9歳)とした。除外基準は,両側性肩関節周囲炎,腱板断裂,石灰沈着性腱板炎と診断された症例とした。評価項目は,カルテから基本情報として,性別,罹病期間,年齢,その他の評価項目として初回評価時の安静時痛,夜間痛(初回・1ヶ月後),運動時痛,肩関節屈曲・外転・下垂位外旋の関節可動域(以下,ROM)の9項目を調査した。夜間痛の有無については,岩下らの報告をもとに問診評価で行い,夜間就寝時に疼痛があり睡眠を妨げてしまう程度の痛みがある症例を夜間痛有とした。夜間痛に関連する因子について,初回評価時に夜間痛を有し,理学療法開始1か月後に夜間痛が残存したか否かを従属変数,基本情報及びその他の評価項目を独立変数として,ロジスティック回帰分析にて解析した。統計処理は,R-2.8.1(CRAN freeware)を使用し,有意水準は5%とした。【結果】初回評価時に夜間痛を有した症例は32例であり,その内1か月後評価において,夜間痛を有した症例は12例であった。理学療法開始1か月後の夜間痛の改善に影響があった因子は,肩関節下垂位外旋ROM(オッズ比:0.84,95%信頼区間:0.70-0.97)であった。【結論】初回評価時に夜間痛を有する肩関節周囲炎患者の,理学療法開始1ヶ月後の夜間痛の改善に対する危険因子は,肩関節下垂位外旋ROMが小さいことであった。
著者
伊藤 創 イトウ ハジメ Hajime Ito
雑誌
国際研究論叢 : 大阪国際大学紀要 = OIU journal of international studies
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.193-208, 2011-01-31

In Japanese, the ru-form and ta-form of the predicates represent aspectual and temporal information. Using these forms correctly is very difficult for those learning Japanese. One of the reasons it is so difficult stems from the fact that the meaning of these two forms in subordinate clauses is very different from that when used in main clauses. The former is called “relative tense”, and the latter “absolute tense”.While a lot of analyses have been carried out about this so far, most aim at explaining the system of the tense and aspect itself, but have not been done from a pedagogical point of view. Considering the present situation, this paper seeks to find an effective way to make learners understand the aspectual and temporal meanings of ru-form and ta-form in subordinate clauses in addition to learning the correct usage of these forms by focusing on the noun-modifying clause.
著者
伊藤 創祐 沙川 貴大
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.658-662, 2017-09-05 (Released:2018-07-25)
参考文献数
11

情報は生物にとって欠かせないものである.生物たる我々は日々情報を取得し,様々な状況でそれを利用している.その意味で情報は身近なものである一方,情報が科学的に広く研究され始めるのは物理学の歴史と比較すると最近のことであり,C. E. Shannonの1948年の論文に端を発する情報理論の成立まで待たなければならない.しかしながら,Shannonが情報理論を創始する20年以上前,物理学の文脈で情報について考え,Shannonにも影響を与えた研究があった.熱力学におけるMaxwellのデーモンのパラドックスの本質を描き出したL. Szilardによる1922年の研究である.そして1960年代以降,R. Landauerらによって,情報と熱力学の関係は本格的に研究されるようになった.現在では情報理論と物理学の融合は熱力学に留まらず様々な分野で盛んに行われており,「情報は物理的な実在である(Information is a physical entity)」というLandauerの主張に深く広い意味づけがなされるようになってきている.とくに情報理論と熱力学の融合分野である「情報熱力学」は,この10年で理論実験ともに急速に発展した.その背景の一つは,1990年代後半から盛んに研究が行われてきた「ゆらぎの熱力学(stochastic thermodynamics)」である.Szilardがその萌芽を見出しShannonが創始した情報理論は,ゆらぎの熱力学と深い関係があることが明らかになってきた.また近年の実験技術の進歩により,単一分子のような微小な系の熱ゆらぎを精密に測定できるようになり,実際にMaxwellのデーモンが実現されるようになってきた.たとえば単一コロイド粒子系の電場制御によって,定量的なMaxwellのデーモンが2010年に世界で初めて実現された.その後デーモンは単一電子箱や核磁気共鳴(NMR)など多彩な系で実現されるようになっている.我々は生体システムへの応用を目標の一つとし,情報熱力学の理論を発展させてきた.複雑な確率過程を記述可能なベイジアンネットワークという概念を活用し,ゆらぎの熱力学を拡張することで,情報熱力学の適用範囲を広げることに成功した.その結果として,生体内部における化学反応の熱力学と,生体システムが受容体などのセンサーで感じる「情報」の関係を,定量的に議論することが可能になった.たとえば大腸菌(E. coli)が餌を探すための仕組みである走化性は,生体情報処理の代表例の一つとしてよく研究されている.我々は,この大腸菌の化学反応ネットワークに情報熱力学を適用した.その結果として,生体系の情報伝達のロバストさ(頑健性)を熱力学の観点から定量化し,それと移動エントロピー(transfer entropy)と呼ばれる情報量の関係を明らかにすることに成功した.さらに大腸菌においては,通常の熱力学的な効率は低いが,情報熱力学的な効率は高いことが,現実的な実験パラメータを用いたシミュレーションによって明らかになった.
著者
島村 裕子 増田 修一 柳田 顕郎 中山 勉 伊藤 創平
出版者
静岡県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

ブドウ球菌毒素 (SEA) とポリフェノールにおける相互作用および毒素活性抑制能の作用機序を検討した。その結果、リンゴ由来プロアントシアニジン (AP) およびEGCGは、SEAの毒素活性発現部位と相互作用することが示唆された。また、APおよびEGCGは、脾臓細胞においてSEAが誘導する細胞増殖およびIFN-γ産生を抑制した。さらに、SEAと相互作用するポリフェノール類は、バイオフィルム関連遺伝子の発現およびSEA遺伝子伝播を抑制した。今後は、SEAとポリフェノールの相互作用が毒素活性発現に及ぼす影響の詳細について明らかにするとともに、SEA遺伝子伝播のメカニズムについても検討する予定である。
著者
武部 純 石橋 寛二 伊藤 創造
出版者
岩手医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

我々は、純チタン表面へ陽極酸化と水熱処理を行うことで陽極酸化皮膜表面上にハイドロキシアパタイト(HA)を析出させる表面処理(SA処理)法について検討してきた。その結果、SA処理インプラント体表面では初期の骨形成能が高く、口腔インプラント治療への有用性が示唆されてきた。しかし、SA処理チタンインプラント表面上での骨形成メカニズムについては不明確であることから、平成16、17、18年度の3年間に渡る研究プロジェクトでは、骨伝導性に関わるSA処理表面性状・構造の解析、骨形成関連遺伝子マーカーを用いた遺伝子レベルでの解析を行った。SA処理を施すことで表面の陽極酸化皮膜は多孔質化となるとともにHA結晶が析出する。SA処理により析出したHA結晶は、結晶性の高い六方晶系であること、六方晶系を呈するHA結晶の特徴であるa軸・c軸の分極による生体内体液のPとCaイオンの吸着現象の促進化、陽極酸化皮膜表面構造のぬれ性の向上と極性・表面エネルギーなどの向上など、種々の骨伝導能を促進させる因子を有する特徴があることが明らかとなってきた。一方、骨芽細胞培養モデルを用いた細胞外基質生成と石灰化形成の過程においては、SA処理により析出したHA結晶形態、HA結晶内部のPとCaの結合エネルギー、HA皮膜の構造に変化は認められないことが示された。さらに未処理チタンに比較してSA処理チタン上での骨基質形成関連遺伝子の発現は高まる傾向を示し、さらに遺伝子発現パターンも異なっていることが推察された。SA処理表面の陽極酸化皮膜から析出したHA結晶を含むHA皮膜の微細構造(表面形状・性状)は骨芽細胞内のシグナル伝達系に作用することで骨芽細胞の分化調節機構を活性化させ、その結果、骨芽細胞の分化・機能は促進されて骨伝導能を高める要因となり、早期のオッセオインテグレーションが獲得されるメカニズムとなっていることが推察された。
著者
梶村 幸市 塩山 司 山森 徹雄 伊藤 創造 細川 貢 島崎 伸子 有住 達也 石橋 寛二 石沢 均
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.946-951, 1996-10-01
被引用文献数
13 12

チタンインプラントが顎骨内でより早期に安定することを目的として,チタン表面に対する種々の改良が試みられている.しかし,強度と化学的安定性からみて,いまだ問題点が多い.本研究は著者らが開発したチタン表面の新しい処理方法の有用性について組織学的に検討したものである.この新しい表面処理が埋入初期の骨形成に有用であることが示され,インプラントの臨床をより確実にするための一助になるものと期待される.