著者
宮崎 かすみ
出版者
和光大学表現学部
雑誌
表現学部紀要 (ISSN:13463470)
巻号頁・発行日
no.16, pp.127-146, 2015

本稿では、変質論と推理小説の親和性を論証した。まず19世紀半ばにフランスで精神医学の理論として発表された変質論がもっと前の時代の、人類学における人種論としての議論にまで遡り系譜をたどった。その上で、ロンブローゾの犯罪人類学の理論的骨格となっている変質論が、人種論に由来するものであることを明らかにした。後者の変質論は、ダーウィニズムの影響が色濃く、退化や先祖がえりといった概念を特徴とするが、アーサー・コナン・ドイルのホームズ・シリーズを、この変質論のパラダイムから読み解いた。そして、ホームズ物語は、犯罪という現象の原因にある政治や社会問題を、犯罪者の変質した身体の問題へと収斂させるというプロットを内在させていったことを指摘した上で、そのベクトルを変質論から援用していたという結論に至った。

言及状況

Twitter (7 users, 8 posts, 1 favorites)

こんな論文どうですか? 名探偵ホームズと「生来性犯罪者」 : 変質論の系譜と推理小説への展開(宮崎 かすみ),2015 https://t.co/nXkItSKVV4
こんな論文どうですか? 名探偵ホームズと「生来性犯罪者」 : 変質論の系譜と推理小説への展開(宮崎 かすみ),2015 https://t.co/nXkItSKVV4
"CiNii 論文 -  名探偵ホームズと「生来性犯罪者」 : 変質論の系譜と推理小説への展開" https://t.co/cE4lxV8AoO ※本文リンクあり

収集済み URL リスト