- 著者
-
浜野 龍夫
柳井 芳水
山名 裕介
- 出版者
- 水産大学校
- 雑誌
- 水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.3, pp.143-163, 2009-02
瀬戸内海西部の干潟に2006年5月27日に、逆さ竹林礁を設置し、その生物増殖効果を実証するために実験を行った。2006年8月、9月、11月、2007年1月、4月、5月の大潮時に竹林礁に来遊する生物のモニタリングを水中ケーブルカメラを用いて行った。その結果、魚類19科22種、頭足類2科2種、合計5,640個体が確認され、竹枝に付着する生物、表在する生物、竹枝の間に浮遊する生物、を頻繁に摂餌する様子が見られた。また、2006年5月から2007年4月まで、大潮満潮時に潜水調査を行い、魚類23科26種、貝類2科2種、甲殻類2科2種、頭足類3科4種、合計3,731個体が確認された。2006年6月にはカミナリイカの卵が竹枝下部に産み付けられていた。この干潟には、2006年までマナマコは全く確認されなかった。2007年3月からマナマコが見られ始め、5月には457個体(95%区間推定1,763〜2,560個体)のマナマコ(平均標準体長は青型59.3mm、黒型57.5mm)が分布していた。以上のことから、この礁は生物の増殖に効果があると判断した。