著者
山名 裕介 浜野 龍夫 山元 憲一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.299-306, 2005 (Released:2005-07-20)
参考文献数
12
被引用文献数
14 12

伸縮する成体マナマコの体長を正確に測定するために,麻酔方法を検討した。未変性エタノールの 10% 海水希釈液にメントールを飽和溶解させ,これを濾過して基準液を作成した。基準液の 40% 海水希釈液が,成体マナマコに対して効果的な麻酔剤であった。この麻酔液に浸漬したナマコは,体色型,体サイズ,水温に関係なく,体長変化が止み,口縁触手が弛緩して伸び,かつピンセットで体表を突付いても無反応な状態となった。麻酔時の体長は変動幅が小さく,新測定基準として有効と考える。
著者
浜野 龍夫 林 健一 川井 唯史 林 浩之
出版者
一般社団法人 日本甲殻類学会
雑誌
甲殻類の研究 (ISSN:24330108)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.73-87, 1992-12-31 (Released:2017-09-08)
被引用文献数
6 5

Crayfish in Lake Mashu, Hokkaido, Japan, were captured with tangle nets in the summer of 1992. All specimens, 171 males and 517 females, had intermediate diagnostic character between two subspecies, Pacifastacus leniusculus leniusculus and P, l. trowbridgii. Although three very large individuals of unidentified crayfish were captured in this lake by poachers of trout in 1975 and 1985, there is no certain confirmation because of illegal samplings. One of the present authors took a chance to measure one of them, a fresh male crayfish with very large chelae, in 1975 when he was 11 years old and recorded only its giant size, i.e. 47 cm carapace length. However, the largest P. leniusculus collected in this study was 5.7cm in c. l. Neoteny may have occurred because there is no secondary sexual character on chelae of adult P. leniusculus males. This lake has no river. Age of the lake is estimated as about 2000 years old. Further, all species of fish and crustaceans in the lake were artificially introduced from other waters. Of crayfish, only P. leniusculus occurs and was introduced from Portland, Oregon, U.S.A., in 1930. From these, the unidentified gigantic crayfish seems to have been P. leniusculus grown to a giant size.
著者
浜野 龍夫 林 健一 川井 唯史 林 浩之
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
甲殻類の研究 (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
no.21, pp.73-87, 1992-12-31
被引用文献数
4

Crayfish in Lake Mashu, Hokkaido, Japan, were captured with tangle nets in the summer of 1992. All specimens, 171 males and 517 females, had intermediate diagnostic character between two subspecies, Pacifastacus leniusculus leniusculus and P, l. trowbridgii. Although three very large individuals of unidentified crayfish were captured in this lake by poachers of trout in 1975 and 1985, there is no certain confirmation because of illegal samplings. One of the present authors took a chance to measure one of them, a fresh male crayfish with very large chelae, in 1975 when he was 11 years old and recorded only its giant size, i.e. 47 cm carapace length. However, the largest P. leniusculus collected in this study was 5.7cm in c. l. Neoteny may have occurred because there is no secondary sexual character on chelae of adult P. leniusculus males. This lake has no river. Age of the lake is estimated as about 2000 years old. Further, all species of fish and crustaceans in the lake were artificially introduced from other waters. Of crayfish, only P. leniusculus occurs and was introduced from Portland, Oregon, U.S.A., in 1930. From these, the unidentified gigantic crayfish seems to have been P. leniusculus grown to a giant size.
著者
浜野 龍夫 林 健一
出版者
一般社団法人 日本甲殻類学会
雑誌
甲殻類の研究 (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-13, 1992
被引用文献数
2 19

The ecology of an atyid shrimp Caridina japonica was studied in the Shiwagi Rivulet. Yuki Town, Tokushima Pref. This species is amphidromous in nature. The juveniles migrate upstream from the sea exclusively during the night and can be seen climbing a vertical wall, where the rivulet water is trickling down. From field observation, rheotaxis seems, to be the most important orientation mechanism for the upstream migration of juveniles. The peak month of egg incubation was June. The mean duration of incubation was 40 days at 20℃ in aquaria. From these values and with known information on the duration of larval life, it was estimated that the period of upstream migration starts in August. Most males die within two years after metamorphosis, however, many females survive for more than two years.
著者
岡﨑 孝博 吉本 亮子 上田 幸男 浜野 龍夫
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.2-8, 2014 (Released:2014-01-29)
参考文献数
27
被引用文献数
3 3

価格差の要因を明らかにするために,徳島産および韓国産ハモの体成分を分析した。韓国産の脂質含量(7.7~10.4%)は,徳島産(1.4~3.0%)に比べて顕著に高かった。呈味に関与する遊離アミノ酸の含有量に有意差は見られなかった。体重 0.3~0.8 kg の雌で比較したところ,韓国産は肥満度および比肝重量が高く,産卵期にすべて未成熟であったが,徳島産の一部は成熟していた。韓国産は,より低水温域に生息し,成熟開始年齢が高く,脂質を多く蓄えるため,旨味が強く,より高値で取引されると推察された。
著者
松田 春菜 田代 優秋 浜野 龍夫
出版者
徳島大学
雑誌
大学教育研究ジャーナル (ISSN:18811256)
巻号頁・発行日
no.11, pp.63-68, 2014-03

大学生81名を対象に,身近な自然環境の象徴としたカタツムリをどのように描くかを把握することで,身近な自然環境への認識を調査した。その結果,直近3年間にカタツムリを目撃した人は約50%で,触ることができると回答した人は約70%いたが,カタツムリの形態を正確に描けた大学生は約6%と少なかった。生物全般を好きだと感じている人ほどカタツムリを日常的な生活圏内で目撃しており,そうした人ほど正しく描けていた。つまり,身の回りにある当たり前の自然環境への関心が日常的な関わりを生み,そうした行為を通じて正しく認識されていくというプロセスが想定できた。
著者
浜野 龍夫 坪井 俊三 今井 厚 星野 尚重 沖本 博 陣之内 征龍 林 健一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.127-133, 1994-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6

陸上植物の育苗培地用資材であるロックウールは自然砂に比較して軽く, 作業性にすぐれている。このため, ロックウールを潜孔・埋在性動物の飼育に利用することを目的にその水質保全効果を確かめた。循環水槽にロックウール・イワムシ・クルマエビを組み合わせて収容し水質の経時的変化を観察したところ, ロックウールを使用した飼育ではアンモニア態窒素濃度が抑えられた。とくに, イワムシとロックウールを組み合わせて飼育した水槽のアンモニア濃度は低かった。また, ロックウールか自然砂を入れたビンに海水と配合飼料を加え黒色還元層の発現状況を観察したところ, ロックウール中の還元層の発達速度は天然砂よりも有意に小さかった。これらのことから, ロックウールには水質保全効果があり天然砂に代わる底質材として有効であると判断した。
著者
浜野 龍夫 柳井 芳水 山名 裕介
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.143-163, 2009-02

瀬戸内海西部の干潟に2006年5月27日に、逆さ竹林礁を設置し、その生物増殖効果を実証するために実験を行った。2006年8月、9月、11月、2007年1月、4月、5月の大潮時に竹林礁に来遊する生物のモニタリングを水中ケーブルカメラを用いて行った。その結果、魚類19科22種、頭足類2科2種、合計5,640個体が確認され、竹枝に付着する生物、表在する生物、竹枝の間に浮遊する生物、を頻繁に摂餌する様子が見られた。また、2006年5月から2007年4月まで、大潮満潮時に潜水調査を行い、魚類23科26種、貝類2科2種、甲殻類2科2種、頭足類3科4種、合計3,731個体が確認された。2006年6月にはカミナリイカの卵が竹枝下部に産み付けられていた。この干潟には、2006年までマナマコは全く確認されなかった。2007年3月からマナマコが見られ始め、5月には457個体(95%区間推定1,763〜2,560個体)のマナマコ(平均標準体長は青型59.3mm、黒型57.5mm)が分布していた。以上のことから、この礁は生物の増殖に効果があると判断した。
著者
浜野 龍夫 近藤 正和 大橋 裕 立石 健 藤村 治夫 末吉 隆
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.249-254, 1996-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10
被引用文献数
1

マナマコ種苗が放流地点から急速に見られなくなる原因を究明するため, 水槽とタイドプールを使って実験を行った。その結果, 主因は, 食害による減耗ではなく, 「観察者による見落とし」と「種苗の移動」と推察された。
著者
中田 和義 和田 信大 荒木 晶 浜野 龍夫
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.263-274, 2005-09-20
参考文献数
35
被引用文献数
3

テナガエビ類を効果的に採集できるエビ篭の構造と使用人工餌料について検討するため、1)エビ篭に入れた人工藻体、2)エビ篭の入り口の直径、3)エビ篭に用いる人工餌料がテナガエビ類の採集効率に及ぼす効果を調べる野外実験を実施した。エビ篭に人工藻体を入れ、篭の内部をテナガエビ類の隠れ場所に似せても、採集個体数は変わらなかった。一方、エビ篭の入り口の直径は採集個体数に大きく影響し、採集効率は直径40~50mmで最適であったが、40mmは50mmよりもモクズガニの混獲を防ぐ効果が高かった。人工餌料の実験では、餌料1(ウナギ育成用配合飼料)、餌料2(餌料1にイカ内臓ソリュブル吸着飼料とオキアミエキスを混ぜた餌料)ともに冷凍サンマと同等の採集効果を期待できた。以上の結果から、テナガエビ類の採集では、入り口の直径を40mmとしたエビ篭に、常温での長期保存が可能で、餌料2よりも安価な餌料1を用いる方法が良いと結論づけた。これらの条件を伴うエビ篭と、市販のカニ篭(餌料は冷凍サンマ)を用いて、8河川4湖沼で採集比較実験を行ったところ、テナガエビ類はエビ篭のみで採集され、エビ篭はテナガエビ類の採集に有効であることが示された。また、このエビ篭は他のエビ類やザリガニ類に対しても採集効果が高かった。