- 著者
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内野 彰
- 出版者
- 養賢堂
- 雑誌
- 農業および園芸 (ISSN:03695247)
- 巻号頁・発行日
- vol.90, no.1, pp.174-180, 2015-01
水稲作では1980年代から一発処理型除草剤が広く普及し,一発処理型除草剤に含まれるスルホニルウレア系除草剤成分(SU剤)が水田の広い範囲で使用された。これに対し1990年代半ばからSU剤に対する抵抗性(SU抵抗性)が確認され,現在は21種類の雑草で抵抗性が報告されている。水田雑草では19種類でSU抵抗性が確認されており(内野・岩上2014a),このうちの6種類(イヌホタルイ,タイワンヤマイ,へラオモダカ,オモダカ,ウリカワ,マツバイ)が多年生の水田雑草である。イヌホタルイ,タイワンヤマイおよびへラオモダカの3種類は大量の種子を生産し,多年生雑草であるが水田では主に種子によって繁殖する。オモダカ,ウリカワおよびマツバイも種子を生産するが,これらは主に栄養繁殖体(塊茎または越冬芽)によって繁殖する。6種類のうちイヌホタルイのSU抵抗性については定(2015)の解説があるため,そちらを参照ねがうこととし,本稿では,6種類の中でイヌホタルイに次いで全国的に報告の多いオモダカのSU抵抗性を中心に,他の多年生雑草のSU抵抗性について解説する。