著者
沖 良祐 内野 彰子 和泉 唯信 小川 博久 村山 繁雄 梶 龍兒
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.12-16, 2016 (Released:2016-01-29)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

症例は死亡時74歳の男性である.小児期の急性灰白髄炎罹患後に左下肢麻痺が残存した.60歳頃より四肢筋力低下,72歳頃より呼吸機能障害・嚥下障害が進行し,発症約14年後に死亡した.神経病理学的には脊髄にポリオ後遺症と思われるplaque-like lesionのほか,脊髄全長にわたりグリオーシスを伴う前角細胞脱落を認めたが,Bunina小体やユビキチン・TDP43陽性封入体などamyotrophic lateral sclerosis(ALS)に特徴的とされる構造物は認めなかった.ポストポリオ症候群は稀に呼吸機能障害や嚥下障害が急速に進行して致死的となる場合があり,これらの病理所見はポストポリオ症候群による運動麻痺の進行と関連していると考えられた.
著者
安達 康弘 内野 彰
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.169-174, 2021 (Released:2022-01-26)
参考文献数
16

コナギに対する効果的な機械除草の時期を葉齢と引き抜き抵抗力との関係に着目して検討した。ポット試験では,コナギの葉齢増加にともなって引き抜き抵抗力が指数関数的に急激に上昇し,1葉期以降では葉齢が1葉増加すると引き抜き抵抗力が2.2倍になった。圃場試験においてもコナギ葉齢と引き抜き抵抗力との関係が指数関数曲線によく適合したことから,葉齢が除草適期の重要な目安になると考えられた。実際の高精度水田用除草機によるコナギの除草効果からは,1回目の除草時期の目安が1葉期以下と推定された。葉齢と引き抜き抵抗力との指数関数的な関係を考慮すれば,機械除草で高い除草効果を得るためには,コナギが目安となる葉齢を超える前に除草することが重要と言える。
著者
内野 彰裕
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.129, 2018

<p>本園は1975年に八王子市に設立され、園庭の豊かな自然環境に力を入れてきたが、2014年、園庭の身近な自然と園外の深い自然とを日常的に往来できる環境を求め移転をした。2.2haの敷地には園児、保護者、教職員と、棚田、畑、小川、森の広場等を整備・再生し、里地里山における「自然との繋がりを大切にした保育」を展開している。隣接する47㏊の森は多様な生態系が維持され、園児は保育者と日常的に森に入る。こうした豊かな自然の中で、自然教育、環境教育、労作教育、食農教育を中心としたESD「里山教育」を通して、生きる力の基礎を培う保育を大切にしている。また園内外の森は「教育資源」と捉え、次の3段階のねらいで活用している。(1)遊び場としての森「森のようちえん」(2)ビオトープとしての森「動植物との触れ合い」(3)ESDとしての森「子どもの森づくり」。年少の頃から日常的に森で遊び、森に親しみ、動植物と触れあい、人間と生き物との関係を理解し、森林を大切にする気持ちが芽生え、考え、行動できるようになっていく。このように遊びを通して周囲の環境に関わり、考え、子どもなりの答えを導いていくプロセスは「主体的・対話的で深い学び」に繋がる。</p>
著者
内野 彰 山口 誠之
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.58, pp.39-40, 2005-12

ジクワット・パラコート混合剤は非選択性除草剤として市販される除草剤であり、水稲作では秋期稲刈り取り後や春期耕起直前などの雑草防除に使用される。パラコート単剤およびジクワット・パラコート混合剤については、従来の茎葉処理剤として雑草を枯殺する効果に加え、種子処理により種子の幼芽・幼根の伸長を抑制する効果のあることがイネや数種の雑草で報告されている。このことから、こぼれ籾発芽防止や雑草イネの防除への応用試験が行われ、雑草発生抑制効果の実用性についても検討されている。本試験では、こうした効果の積雪寒冷地での実用性を検討するため、ノビエ種子への効果を積雪前秋期処理と融雪後春期処理で比較し、水稲種子への効果を処理後土中に保存した場合と処理後土壌表面に保存した場合で比較した。
著者
古原 洋 内野 彰 渡邊 寛明
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.175-184, 2001-09-28
参考文献数
13
被引用文献数
7

要約:北海道および東北で採取されたスルホニルウレア系除草剤抵抗性イヌホタルイ(Scirpus jun-coides Roxb.var.ohwianus T.Koyama)8集団および感受性6集団の1998年産種子を供試し,15℃および30℃の温度条件,湛水土壌および密栓水中条件下での発芽について検討した。その結果,15℃湛水土壌の低温条件下で,抵抗性イヌホタルイの多くは感受性イヌホタルイよりも発芽率が高く,発芽速度も速やかであった。上記供試イヌホタルイのうち,抵抗性3集団および感受性1集団について,1999年産種子を用いて再試験を実施したところ,1998年産種子と同様の結果が得られたことから,種子の発芽にみられる集団間差異は遺伝的な差異と考えられた。抵抗性および感受性イヌホタルイが混生する現地水田において,発生時期毎にイヌホタルイ実生の抵抗性検定を行った結果,抵抗性個体の発生が感受性個体よりも速やかであり,移植後10日までに大部分の個体が発生を終えていることが明らかとなった。代かき後の雑草発生時期が低温で推移する北海道においては,低温発芽性に優れる抵抗性イヌホタルイの発生は,感受性イヌホタルイよりも速やかである場合が多いと予想される。したがって,抵抗性イヌホタルイ発生水田では,除草剤の処理時期を逸しないように,水稲移植直後より注意深くその発生を観察することが重要であると示唆された。
著者
内野 彰
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1, pp.174-180, 2015-01

水稲作では1980年代から一発処理型除草剤が広く普及し,一発処理型除草剤に含まれるスルホニルウレア系除草剤成分(SU剤)が水田の広い範囲で使用された。これに対し1990年代半ばからSU剤に対する抵抗性(SU抵抗性)が確認され,現在は21種類の雑草で抵抗性が報告されている。水田雑草では19種類でSU抵抗性が確認されており(内野・岩上2014a),このうちの6種類(イヌホタルイ,タイワンヤマイ,へラオモダカ,オモダカ,ウリカワ,マツバイ)が多年生の水田雑草である。イヌホタルイ,タイワンヤマイおよびへラオモダカの3種類は大量の種子を生産し,多年生雑草であるが水田では主に種子によって繁殖する。オモダカ,ウリカワおよびマツバイも種子を生産するが,これらは主に栄養繁殖体(塊茎または越冬芽)によって繁殖する。6種類のうちイヌホタルイのSU抵抗性については定(2015)の解説があるため,そちらを参照ねがうこととし,本稿では,6種類の中でイヌホタルイに次いで全国的に報告の多いオモダカのSU抵抗性を中心に,他の多年生雑草のSU抵抗性について解説する。
著者
内野 彰
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.90, no.1, pp.174-180, 2015 (Released:2015-05-14)
著者
沖 良祐 内野 彰子 和泉 唯信 小川 博久 村山 繁雄 梶 龍兒
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-000761, (Released:2015-11-30)
参考文献数
12
被引用文献数
2

症例は死亡時74歳の男性である.小児期の急性灰白髄炎罹患後に左下肢麻痺が残存した.60歳頃より四肢筋力低下,72歳頃より呼吸機能障害・嚥下障害が進行し,発症約14年後に死亡した.神経病理学的には脊髄にポリオ後遺症と思われるplaque-like lesionのほか,脊髄全長にわたりグリオーシスを伴う前角細胞脱落を認めたが,Bunina小体やユビキチン・TDP43陽性封入体などamyotrophic lateral sclerosis(ALS)に特徴的とされる構造物は認めなかった.ポストポリオ症候群は稀に呼吸機能障害や嚥下障害が急速に進行して致死的となる場合があり,これらの病理所見はポストポリオ症候群による運動麻痺の進行と関連していると考えられた.