著者
柴田 英明
出版者
香川県農業試験場
雑誌
香川県農業試験場研究報告 = Bulletin of the Kagawa Prefecture Agricultural Experiment Station (ISSN:03748804)
巻号頁・発行日
no.65, pp.43-49, 2015-03

オイル用オリーブ果実の生産において,果実中の油分含量が価格決定における極めて大きな評価要素となる。しかしながら現実にはサンプリング採油を行うか長時間かけてソックスレー抽出法による分析を行うしかなく,少量収穫の場合,サンプリング採油や迅速な分析を行うことは困難である。また樹上での収穫適期の把握もサンプリング採油後の分析を行うほかなく,簡易かつ迅速な測定方法が求められている。また採油時には含油量,含水量により遠心分離用デカンターの調整を行っているため含水率の把握も求められている。近赤外線を果物や魚などに照射すると特定波長で照射光が吸収される。その吸収される強度(吸光度)は物質(糖・脂肪分など)の濃度に比例する。この性質を利用し,近赤外線分光分析器が非破壊かつ迅速な果実糖度や魚類の含脂肪率測定に用いられている。このことは岩元らにより報告されている。恩田らはスモモ果実の糖度,酸度,硬度について検討し,糖度,硬度における測定の可能性について報告している。オリーブ果実ではCayuela et al. がスペイン固有の品種である「Picual」種及び「Arbequina」種において果実中の含水率及び含油率について複数個の果実を用いて調査し,高い相関を見出している。しかし用いた分光光度計は大型で室内据え置き型であり,高価であることから簡易な測定には利用できない。一方,山内らはハンディータイプ近赤外線分光分析器FQA-NIRGUNを用いてマアジおよびその干物の脂肪測定を行い,原料魚用・干物用それぞれの検量線を作成し簡易測定に活用しており,吉田らは同じくFQA-NIRGUNを用いたメロン糖度の非破壊分析方法について報告している。そこで,本研究では収穫適期の簡易判定を目的にハンディータイプ近赤外線分光分析器FQA-NIRGUNを用いて,本県における主要オイル用オリーブ品種である「ミッション」「ルッカ」種の油分含量・水分含量について個々の果実から非破壊で評価する検量線及び複数品種および品種不明果実に用いる汎用検量線を作成したので報告する。

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CiNii 論文 -  オイル用オリーブ果実非破壊品質評価法の開発 https://t.co/iU9Bma8Lb3 #CiNii

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