著者
古市 崇雄 池内 隆夫 大矢 啓三
出版者
香川県農業試験場
巻号頁・発行日
no.56, pp.43-49, 2003 (Released:2011-03-05)

1.「さぬきのめざめ」は香川県農業試験場で選抜した雌株「No.17」と雄株「No.16」との単交配による交雑品種であり、萌芽が極めて早く、若茎の開頭が遅く、収量性の高い品種である。2002年7月に種苗法に基づき、品種登録の出願をおこなった。2.「昭和58年度種苗特性分類調査報告書:アスパラガス」による特性分類では、植物体の草丈、茎の第1側枝高の高さはやや高い。収穫若茎は茎色がやや淡緑、茎のアントシアニンの発現がやや多く、茎数が多い。若茎頭部の色は緑、頭部のしまりは緊、開頭の早晩は晩である。低温要求性は低く、萌芽の早晩は極早生、越冬性と低温伸長性は高い。3.「さぬきのめざめ」における春芽の萌芽は「ウェルカム」や「メリーワシントン500W」に比べて施設栽培で1週間、露地栽培で2か月早い。品薄・高単価な12月下旬から収穫が可能で、収穫期間を通じて収穫物の外観品質が優れることから、春芽どりの増収や夏芽の秀品率向上が期待できる。
著者
野田 啓良
出版者
香川県農業試験場
巻号頁・発行日
no.61, pp.35-41, 2010 (Released:2011-07-13)

スモモ「メスレー」の追熟に及ぼす温度とエチレン処理の影響について検討した。1.20℃、25℃、27.5℃、30℃で追熟したところ、20℃では果肉の軟化や着色等の追熟現象に伴い呼吸量とエチレン生成量が増加した。25℃ではエチレン生成量は増加しなかったが、追熟現象は進んだ。27.5℃では果肉の軟化は進んだが、着色は抑制された。呼吸量やエチレン生成量は増加しなかった。30℃では果肉の軟化や着色が阻害され追熟現象は進行せず、呼吸量の増加やエチレン生成は認められなかった。2.500ppmエチレン処理すると、20℃および25℃では追熟現象の進行に伴い、呼吸量とエチレン生成量は増加したが、27.5℃以上ではエチレン生成量の増加は認められなかった。30℃では果肉の軟化や着色の進行も認められなかった。3.30℃、エチレン濃度500ppmの環境に保持すると、果肉の軟化や着色が進行し呼吸量は増加したが、エチレン生成量の増加はわずかであった。4.20℃で16時間、250ppmエチレン処理をして、30℃へ移行させると、果肉の軟化や着色が進行し呼吸量は増加したが、エチレン生成量の増加はわずかであった。
著者
十川 和士
出版者
香川県農業試験場
巻号頁・発行日
no.63, pp.15-26, 2013 (Released:2014-01-09)

アスパラガス半促成長期どり栽培における春芽どり収穫期と夏秋芽どり収穫期のネギアザミウマ対策として,殺虫剤の土壌灌注処理の防除効果および土壌灌注処理と紫外線除去フィルムの展張を組み合わせた防除体系の効果を検討した。1.ネギアザミウマに対し殺虫活性の高いベンフラカルブマイクロカプセル剤,メソミル水和剤およびアセフェート粒剤を用い,夏秋芽どり収穫期の土壌灌注処理を検討した結呆,メソミル水和剤1,000倍希釈液を3L/m2株元灌注することで高い防除効果が得られた。2.春芽どり収穫期におけるメソミル水和剤の土壌灌注処理は,保温直前に3L/m2株元灌注することでネギアザミウマによる若茎への被害を軽減することができ,アスパラガスの秀品率を向上させることができた。3.土壌灌注処理と紫外線除去フィルムを組み合わせた防除体系は,一般POフィルムによる慣行防除と比較し,ネギアザミウマを対象とした殺虫剤散布回数を25%削減することができた。
著者
野田 啓良
出版者
香川県農業試験場
雑誌
香川県農業試験場研究報告 (ISSN:03748804)
巻号頁・発行日
no.61, pp.35-41, 2010-03

スモモ「メスレー」の追熟に及ぼす温度とエチレン処理の影響について検討した。1.20℃、25℃、27.5℃、30℃で追熟したところ、20℃では果肉の軟化や着色等の追熟現象に伴い呼吸量とエチレン生成量が増加した。25℃ではエチレン生成量は増加しなかったが、追熟現象は進んだ。27.5℃では果肉の軟化は進んだが、着色は抑制された。呼吸量やエチレン生成量は増加しなかった。30℃では果肉の軟化や着色が阻害され追熟現象は進行せず、呼吸量の増加やエチレン生成は認められなかった。2.500ppmエチレン処理すると、20℃および25℃では追熟現象の進行に伴い、呼吸量とエチレン生成量は増加したが、27.5℃以上ではエチレン生成量の増加は認められなかった。30℃では果肉の軟化や着色の進行も認められなかった。3.30℃、エチレン濃度500ppmの環境に保持すると、果肉の軟化や着色が進行し呼吸量は増加したが、エチレン生成量の増加はわずかであった。4.20℃で16時間、250ppmエチレン処理をして、30℃へ移行させると、果肉の軟化や着色が進行し呼吸量は増加したが、エチレン生成量の増加はわずかであった。
著者
柴田 英明
出版者
香川県農業試験場
雑誌
香川県農業試験場研究報告 = Bulletin of the Kagawa Prefecture Agricultural Experiment Station (ISSN:03748804)
巻号頁・発行日
no.65, pp.43-49, 2015-03

オイル用オリーブ果実の生産において,果実中の油分含量が価格決定における極めて大きな評価要素となる。しかしながら現実にはサンプリング採油を行うか長時間かけてソックスレー抽出法による分析を行うしかなく,少量収穫の場合,サンプリング採油や迅速な分析を行うことは困難である。また樹上での収穫適期の把握もサンプリング採油後の分析を行うほかなく,簡易かつ迅速な測定方法が求められている。また採油時には含油量,含水量により遠心分離用デカンターの調整を行っているため含水率の把握も求められている。近赤外線を果物や魚などに照射すると特定波長で照射光が吸収される。その吸収される強度(吸光度)は物質(糖・脂肪分など)の濃度に比例する。この性質を利用し,近赤外線分光分析器が非破壊かつ迅速な果実糖度や魚類の含脂肪率測定に用いられている。このことは岩元らにより報告されている。恩田らはスモモ果実の糖度,酸度,硬度について検討し,糖度,硬度における測定の可能性について報告している。オリーブ果実ではCayuela et al. がスペイン固有の品種である「Picual」種及び「Arbequina」種において果実中の含水率及び含油率について複数個の果実を用いて調査し,高い相関を見出している。しかし用いた分光光度計は大型で室内据え置き型であり,高価であることから簡易な測定には利用できない。一方,山内らはハンディータイプ近赤外線分光分析器FQA-NIRGUNを用いてマアジおよびその干物の脂肪測定を行い,原料魚用・干物用それぞれの検量線を作成し簡易測定に活用しており,吉田らは同じくFQA-NIRGUNを用いたメロン糖度の非破壊分析方法について報告している。そこで,本研究では収穫適期の簡易判定を目的にハンディータイプ近赤外線分光分析器FQA-NIRGUNを用いて,本県における主要オイル用オリーブ品種である「ミッション」「ルッカ」種の油分含量・水分含量について個々の果実から非破壊で評価する検量線及び複数品種および品種不明果実に用いる汎用検量線を作成したので報告する。
著者
宮下 武則 森 芳史 村上 優浩
出版者
香川県農業試験場
雑誌
香川県農業試験場研究報告 (ISSN:03748804)
巻号頁・発行日
no.57, pp.1-10, 2005-03

移植期と施肥法を変えた3年間の栽培試験結果を用いて、登熟期の気温が「ヒノヒカリ」の玄米品質とタンパク質含有率に及ぼす影響を検討した。1.「ヒノヒカリ」は、登熟期間中に高温に遭遇することによって玄米品質が低下しやすい品種である。登熟期の平均気温が24℃を超える場合、あるいは出穂後10日間の平均気温が27℃を超える場合は、主に高温の影響で玄米品質が低下する。2.登熟期の平均気温が23-24℃の場合は、単位面積当たり籾数の過剰によって玄米品質が低下する。この温度域で玄米品質を確保するためにはm2当たり籾数を2万8千粒以下にする必要がある。3.タンパク質含有率は、施肥窒素量だけでなく登熟期の気温によっても変化し、平均日最低気温が17℃以下もしくは平均気温が22℃以下の時は、それ以上の気温の時よりも低くなる。4.気象生産力指数から推定した香川県の平坦部における玄米品質と食味の向上のための最適出穂期は、8月30日から9月3日までであった。