- 著者
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菅原 七郎
- 出版者
- 養賢堂
- 雑誌
- 畜産の研究 (ISSN:00093874)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.6, pp.529-535, 2015-06
有袋類の多くの野生種は他の哺乳類や動植物と同様に人類の各種開発行為により年々生棲域が侵食されてきて,その数が減少してきている。20世紀末までに,有袋類の6種が絶滅寸前種,17種が絶滅危惧種とされており,2011年のIUCNリストではヒメ,ミナミケバナとキタケバナウォンバットのうちキタケバナウォンバットは現存数138~160匹で絶滅寸前種に指定されている。一方,オーストラリアやニュージーランドのある地域では上記と逆にアカカンガルーやクロオオカンガルーが,ニュージーランドではフクロキツネがそれぞれ過剰繁殖してしまっている。これら野生種の回復,保全や調整のためのARTs(assisted reproductive technologies)が用いられているが有袋類では他の動物種と比べてその成果は実用化まではもう少しといった段階である。この要因は有袋類の生殖機能が特異的であり,捕獲飼育も十分でなく,解明されていないことである。有袋類の生殖機能を調節する手法は効率を高めるものと低下または一次的に停止させるものとの相反する二つの仕方が必要である。