著者
高野 敏樹
雑誌
人間福祉研究 = The human welfare review
巻号頁・発行日
no.5, pp.21-34, 2003-03-25

憲法25条は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」としての生存権を保障しており,この規定が福祉国家としてのわが国の法的基礎をなしている。しかし,この生存権の法的性質をどのようにとらえるかという問題については,これまでも争いのあるところであり,とりわけ最高裁の一連の判決においては事実上,生存権の権利性は希薄化しているといってよい。生存権の司法的実現という視点からは,いずれの学説および判例上も,問題は立法・行政裁量の効果的な統制と,適切な司法審査基準の構築と適用にかかっていることを指摘した。

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