著者
西村 優紀美
出版者
富山大学保健管理センター
雑誌
学園の臨床研究 (ISSN:13464213)
巻号頁・発行日
no.16, pp.15-20, 2017-03

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)が2016年4月から施行されたことにより、高等教育機関において障害学生への合理的配慮の提供が求められることとなった。独立行政法人日本学生支援機構(以下、機構)が2016年5月に公開した「平成27年(2015年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査分析報告」によると、発達障害(診断書有)の人数は、3,442人で、昨年度(2,722人)から720人の増であり、このうち支援障害学生は2,564人で前年度(1,856人)より708人の増であった。同機構が行った実態調査分析報告では、発達障害者支援法で定義づけられた三種類の診断カテゴリーの中で、高機能自閉症等の割合が最も高くなっている。文部科学省の調査では小・中学校においてLD等の学習の問題がある児童生徒の人数が最も多いとされていることを考えると、現時点では、学習上の問題がある児童生徒が大学まで進学することが難しい状況があるのではないかと推察できるとともに、未診断の学生の中に、LDの学生がいる可能性も否定できないとしている。支援内容に関しては、「授業支援」として、「配慮依頼文書の配布」が全体の40.9%となっているか、授業に直接関わる合理的配慮の提供等、具体的な項目まで明らかにされてはいない。「授業以外の支援」が充実している状況と比べて、授業支援に関わる項目の少なさが今後の課題として挙げることができる。

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