- 著者
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伊藤 秀彦
- 出版者
- 関東学院大学経済学部教養学会
- 雑誌
- 自然・人間・社会 (ISSN:0918807X)
- 巻号頁・発行日
- no.50, pp.75-97, 2011-01
本稿は、生成文法理論に基づき受動化と繰り上げについて考察するものである。1章では受動化について考察する。その結果、能動文とそれに対応する受動文とでは意味が異なる場合があるということ、受動文は「併合」と「移動」という文法操作を経て派生されるということ、主要部と補部の「親密さ」が受動化の可否に影響を与えているということが理解できる。2章では繰り上げについて考察する。その結果、主語繰り上げ構文は格フィルターとθ役割の付与で説明できるということ、目的語繰り上げ構文では主文の動詞が補部の指定部に目的格を付与しているということ、受動化と繰り上げは「項の移動」という1つの操作にまとめられるということ、いくつかの文法操作により、ある種のThere構文と進行形の文の派生を統一的に説明できるということがわかる。