- 著者
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小林 照夫
- 出版者
- 関東学院大学[文学部]人文学会
- 雑誌
- 関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
- 巻号頁・発行日
- no.113, pp.147-168, 2008
「神戸淡路大震災」、「中越地震」と言った大地震をはじめ、日本の各所では大小の地震が発生している。一部の地震学者が言うように、日本は「地殻大変動の時代に入った」のではないかと、危機感を抱いている人も多い。そうした状況を反映して、昨今の町内会の課題は、「自主防災」にあると言っても過言ではない。勿論、それは、地震の脅威に対する地域社会の取り組みであるが、その背景では、NPO「帰宅難民の会」の誕生をみると、戦後の郊外住宅団地の造成に伴う日本的職と住の遠隔地化による震災時の危機感が、強く作用しているように思える。そこで、本稿では、同一コミュニティ内での職住一体化乃至は近接のタウンづくりが現在でも都市構造の本質をなしている英国の都市の歴史を検証しながら、日英地域社会比較文化論と題して、コミュニティの在り方について言及を試みることにした。