- 著者
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中村 友紀
- 出版者
- 関東学院大学経済経営研究所
- 雑誌
- 関東学院大学経済経営研究所年報 (ISSN:13410407)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, pp.78-91, 2016-03
シャリヴァリという習俗儀礼が,直接的あるいは象徴的に近代初期イングランド演劇において表象された例は多く見られる。本論考では,近代初期イングランドにおいて顕著な形で発展した近代的演劇のテクストおよび社会的コンテクストに,当該社会に頻発したシャリヴァリ的暴動・騒擾と共通する心性を分析する。その心性とは,近代的個人としての自己認識に基づく自律性を持つものであるが,裏腹にその思考は新しい秩序や公権力に反発し対峙するにあたり,近代化以前の旧来的な権利や自然法を拠り所とし,保守的・地域主義的価値を示すものであった。このようなシャリヴァリが演劇という表象形態において表現されるとは,つまり表象システムが民衆心性を内在させているということである。さらには,暴動的心性の表現としてのドラマの受容は,民衆心性の近代化に影響力を持ったと考えられる。