著者
中村 友紀 山中 伸弥
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.531-538, 2008-08-01

分化多能性をもち,その性質を維持したままほぼ無限に増殖させることができる胚性幹細胞,ES細胞は細胞移植治療や創薬試験系への応用に大きな期待が寄せられてきた.しかし,その作製には受精卵が必要になることから倫理的に慎重な運用が求められ,また他家移植となることから免疫拒絶の制御という問題も抱えていた.これらを回避すべく,真に臨床応用可能な幹細胞の開発を目指し,様々な研究が行なわれている.ここでは,その試みから生まれた人工多能性幹細胞,iPS細胞について,樹立までの経緯とそのインパクト,展望について触れたい.
著者
中村 友紀 山中 伸弥
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.531-538, 2008-08-01 (Released:2011-04-18)
参考文献数
29

分化多能性をもち,その性質を維持したままほぼ無限に増殖させることができる胚性幹細胞,ES細胞は細胞移植治療や創薬試験系への応用に大きな期待が寄せられてきた.しかし,その作製には受精卵が必要になることから倫理的に慎重な運用が求められ,また他家移植となることから免疫拒絶の制御という問題も抱えていた.これらを回避すべく,真に臨床応用可能な幹細胞の開発を目指し,様々な研究が行なわれている.ここでは,その試みから生まれた人工多能性幹細胞,iPS細胞について,樹立までの経緯とそのインパクト,展望について触れたい.
著者
加瀬 七夏美 中村 友紀 植木 毅 桑原 直子 松尾 侑希子 三巻 祥浩 立川 英一 山田 陽城
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

【目的】コルチゾールは、血糖上昇、蛋白質異化促進、脂質分解促進、抗炎症や免疫抑制作用を有する生命維持に必須のホルモンである。生体がストレスに晒されると視床下部-下垂体-副腎皮質(HPA)系が活性化され、コルチゾールが大量に産生されてストレスに拮抗する。一方で過度なストレスによってHPA系機能が亢進され続けるとネガティブフィードバック機構が破綻し、過剰に分泌されたコルチゾールが精神疾患や代謝性疾患、悪性腫瘍、記憶障害などを引き起こす。近年、難治性うつ病患者ではHPA系機能障害が起こり、コルチゾール濃度の顕著な増加が持続されていることが知られている。演者らは漢方薬の香蘇散に見出された抗うつ様作用に、HPA系機能の改善作用が関わっていることを既に報告した。また先に、新たなHPA系機能改善物質を探索するため、35種類の漢方薬について副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)刺激によるコルチゾール産生に対する影響をスクリーニングし、生薬ダイオウが活性に関与することを見出した。今回、引き続きコルチゾール産生抑制活性を指標にダイオウの成分探索を行ったところ、活性成分を単離・同定したので報告する。【方法・結果】ダイオウ(日局、5.0 kg)の水抽出エキス(575 g)をDiaion HP-20カラムクロマトグラフィーに付し、順次極性を下げながら溶出させ5個の粗画分に分画した。このうち最も強い活性が認められたエタノール溶出画分について、各種クロマトグラフィーを用いて分離・精製を行い、6種のアントラキノン類を単離した。単離された化合物のACTH刺激によるウシ副腎皮質細胞のコルチゾール産生抑制活性を評価した結果、2種の化合物が強い活性を示した。
著者
荒川 いつみ 小栗 卓也 中村 友紀 櫻井 圭太 湯浅 浩之
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.22-26, 2022 (Released:2022-01-28)
参考文献数
11
被引用文献数
1

73歳女性.夜間睡眠中の大声の寝言や日中覚醒時の異常言動,会話中に急に反応が乏しくなるエピソードが月単位で相次いで出現.他院にてレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies,以下DLBと略記)と診断されるも,これらの頻度が徐々に増加したため,当院にて精査入院.終夜睡眠ポリグラフィの“筋活動の低下を伴わないレム睡眠”および18F-FDG PETの辺縁系糖代謝亢進より,レム睡眠行動異常症を合併した辺縁系脳炎と診断.ステロイドパルス療法2コース実施後,症状は徐々に軽減した.本例は後に血清抗voltage-gated potassium channel(VGKC)複合体/leucine-rich glioma-inactivated protein 1(LGI1)抗体陽性が判明した.本抗体関連辺縁系脳炎は臨床像がDLBに重なることがあり,診断に際し注意が必要である.
著者
中村 友紀
雑誌
自然人間社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.81-105, 2014-01

近代初期イングランドの社会史・文化史において、"topsy-turvydom<(秩序転倒)や"upside-down<(天地逆転)とは史料によく登場する一つのキーワードである。当該社会の諸表象には、「秩序」への強い意識が見られる。統治する側、権力を持つ側の人々も、民衆の側も、それぞれの立場からの秩序についての明確な概念を持ち、その裏返しに、規から逸れた反秩序についての声を史料に多く残している。JohnWebster のThe White Devil(c.1612 年)は、そのプロットに反秩序の構造を備えている。正義と不正の葛藤であるはずの復讐劇が、不正と不正の葛藤のドラマとなっており、モラル荒廃やジェンダー逸脱が共感・反感こもごもの反応を招き、秩序や価値の感覚に摩擦をもたらす内容となっている。復讐劇へのアンチテーゼともいえるこの作品から、復讐劇ジャンルのカタルシスを分析する。
著者
兒玉 憲人 﨑山 佑介 小迫 拓矢 武井 藍 中村 友紀 橋口 昭大 道園 久美子 松浦 英治 中根 俊成 髙嶋 博
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.1, pp.95-102, 2018-01-10 (Released:2019-01-10)
参考文献数
10

42歳,男性.全身の発汗低下を主訴に受診した.起立性低血圧や頻尿を伴い,広汎な自律神経障害が示唆された.皮膚生検で汗腺及び血管周囲にリンパ球浸潤を認め,抗ganglionicアセチルコリン受容体抗体陽性が判明した.通常,同抗体は自己免疫性自律神経節障害(autoimmune autonomic ganglionopathy:AAG)の原因となるが,汗腺への直接作用は明らかでない.本症例には汗腺と自律神経節障害の両者の特徴が混在し,ステロイド治療が有効であった.
著者
中村 友紀 天野 ともみ 松井 奈津子 蔵前 仁 中村 清忠 伊藤 誠
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.186-191, 2019-01-25 (Released:2019-01-25)
参考文献数
11

血液培養よりAerococcus urinaeを分離した重症感染性心内膜炎の1症例を経験した。患者は大動脈弁閉鎖不全症による大動脈弁置換術,慢性膀胱炎の既往のある70歳代の男性。来院時の血液培養よりCluster状のグラム陽性球菌を認めた。分離培養を行ったところ血液寒天培地に小型のα溶血性レンサ球菌様のコロニーが発育し,質量分析装置による同定を実施したところA. urinaeと同定された。心エコー検査によって感染性心内膜炎と診断され,VCMやSBT/ABPC,カルバペネム系抗菌薬などによる加療を行ったが,心原性脳梗塞を合併し第26病日に死亡した。A. urinaeはGram染色ではブドウ球菌様の形態を示すのに対し,血液寒天培地上ではα溶血を呈するレンサ球菌様のコロニーとして発育するため,Staphylococcus属やStreptococcus属と誤同定されやすい。高齢者の尿路感染症の原因となりうるほか,稀に敗血症や感染性心内膜炎を引き起こす。本菌による感染性心内膜炎は臨床経過の急激な悪化をたどり,重症化しやすいとの報告がある。血液培養にて本菌を疑う所見を得た際は迅速に同定し,早期に適切な治療を開始することが重要である。その点で質量分析装置による同定は非常に有用であると思われた。
著者
酒井 周 高橋 徹 中村 友紀子
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1_134-1_149, 2018 (Released:2018-02-28)
参考文献数
13

梁間方向が9mであるのに対し,桁行方向が最大で84mと非常に大きい辺長比を持つ建物を対象として,強震時及び常時微動の振動観測が長期間にわたって行われた.得られた記録に対して並進振動及び捩れ振動の成分に注目してフーリエ変換を用いた解析を行い,推定される卓越振動数が季節によって変動していることを確認した.さらに,コヒーレンスが低下する現象についても検討を行い,振動性状の詳細について考察を行った.また,比較的短時間の気温変化であっても卓越振動数が変化する例が見られた.
著者
中村 友紀
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究課題は、近代初期イングランド復讐劇による民衆心性への影響を明らかにすることを目指すものである。成果としては以下2点がある。1.数多く制作されジャンルを形成した復讐劇作品群が共有していた常套的様式の表象としての作用とは、ルネサンス的という文化的ムーブメントに位置付けて検証すると、個人主義的な自己のアイデアを表現するものと考えられる。復讐劇は、個人の概念を人々に明示する点で、近代的概念の媒体といえる。2.イングランド社会に見られた、演劇以外の他の芸術や娯楽、媒体における表象と復讐劇の関連性を見出し、それらの表象が、特に美学的・倫理的側面で、人々の近代的心性の形成に影響力を持ったと結論づけた。
著者
中村 友紀子 壁谷澤 寿海
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.65, no.532, pp.51-56, 2000-06-30 (Released:2017-02-03)
参考文献数
13
被引用文献数
3 3

Expected value of time-history response can be formulated by assuming the phase differences spectrum in Fourier transform of earthquake waves as a normal probability curve. The effect of damping on the response spectrum can be obtained based on the formula. The ratio of maximum displacement to previous peak displacement during nonlinear response can also be calculated theoretically, which may be used for estimation. Both theoretical values were compared with those calculated from the responses to earthquake motions, from which a fair correlation was observed, especially in relation to the duration of earthquake motions.
著者
今井 健仁 中村 友紀 丸橋 佑基 中野 隆
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.9-15, 2019

<p>ヘアカラーリングで用いられる主要なブリーチ成分における,メラニン顆粒の分解パターンの違いについて透過電子顕微鏡による毛髪横断面観察から調査した。過酸化水素を共通成分とし,アンモニアおよびモノエタノールアミンでは毛髪中心部寄りのメラニン顆粒から分解され,炭酸塩および過硫酸塩では毛髪外周部のメラニン顆粒から分解されるという逆の挙動を示した。これらの違いは,メラニン顆粒は毛髪外周部に多いという分布特性のほかに,ブリーチ成分の毛髪浸透性とメラニン顆粒に対する酸化分解力の違いも関係していることが示唆された。また,アンモニアと炭酸塩を併用すると毛髪全体にわたってメラニン顆粒が均一に分解され,より効率的にブリーチ性能が発揮できる可能性が示唆された。</p>
著者
中村 友紀
出版者
関東学院大学経済経営研究所
雑誌
関東学院大学経済経営研究所年報 (ISSN:13410407)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.78-91, 2016-03

シャリヴァリという習俗儀礼が,直接的あるいは象徴的に近代初期イングランド演劇において表象された例は多く見られる。本論考では,近代初期イングランドにおいて顕著な形で発展した近代的演劇のテクストおよび社会的コンテクストに,当該社会に頻発したシャリヴァリ的暴動・騒擾と共通する心性を分析する。その心性とは,近代的個人としての自己認識に基づく自律性を持つものであるが,裏腹にその思考は新しい秩序や公権力に反発し対峙するにあたり,近代化以前の旧来的な権利や自然法を拠り所とし,保守的・地域主義的価値を示すものであった。このようなシャリヴァリが演劇という表象形態において表現されるとは,つまり表象システムが民衆心性を内在させているということである。さらには,暴動的心性の表現としてのドラマの受容は,民衆心性の近代化に影響力を持ったと考えられる。
著者
橋本 健広 中原 功一朗 中村 友紀 原田 祐貨
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.264, pp.64-71, 2015-07

関東の一大学経済学部における2014年度の英語教育は,同大学の5カ年計画の事業の一つとして,初中級学生の英語力の底上げを図り,実践的な英語力を養成することを目標とした。具体的には,1.市販教材を使用して自習できるまでに初中級学生の英語力の底上げを図ること,2.TOEIC受験率を上げること,3.カリキュラム改革等を通して学生が英語でわずかながらもコミュニケーションを取れるよう教育環境を整えることの三点である。初中級学生の英語の熟達度の底上げを図るために,2年次英語補習としてTOEIC準拠教材に取り組ませ,また2013年度の検証結果をもとにeメンターを導入して継続的な学習を促した。語学としての英語や補習教材に関する動機づけのアンケートを実施し検証した結果,補習への取組が継続的になされ,また一部の学生に理想だけではなく実際の学習行為への動機づけの上昇がみられた。TOEIC受験料の補助制度を設けることでTOEIC受験者数が増加し,またリスニングの学習が有益であるという示唆が得られた。実践的な英語力を身につけるためグローバル人材育成プログラムを整備し,2015年度より実施予定である。留学等に関するアンケートの実施結果から,多くの学生は留学や海外での活動に興味を持っていた。2015年度はより多くの学生の補習プログラムへの取組を促し,英語の熟達度の改善と実践的な英語力の養成へとつなげる予定である。
著者
平田 圭亮 中村 友紀子 加藤 大介
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.51, pp.161-164, 2008-07-27

2007年07月16日に新潟県上中越沖が発生した。本報告では、震度6強を記録した柏崎市のRC造学校建物を対象とし、その地域の耐震補強化の状況、竣工年と被害の関係および耐震性能と被害の関係について調査した。調査は、新潟県の施設台帳、応急危険度判定調査表、県と市の各被害報告書および現地調査により行った。その結果、柏崎市のRC造学校建物の耐震補強化率は低くかったが、駆体にはほとんど被害は見られなかった。