著者
宮川 裕二
出版者
法政大学公共政策研究科『公共政策志林』編集委員会
雑誌
公共政策志林 = Public policy and social governance (ISSN:21875790)
巻号頁・発行日
no.5, pp.29-41, 2017-03

「新しい公共」およびその類義語は,しばしばその多義性が指摘されてきた概念である。筆者はその「新しい公共」概念を,市場・市民社会・統治という3つのコンテキストから導いた6つのポジション類型,すなわちロールバック新自由主義,左派,参加型市民社会派,新国家主義,ロールアウト新自由主義,統治性研究という類型によって整理し,各代表的論者の文献や発言にあたりつつ,それぞれの性格を論じた。そしてその枠組みから,1990年代後半以降政府によって採用され,日本の新たな国家・社会の改革・形成指針として大きな影響を及ぼしてきた「新しい公共(空間)」政策言説を分析し,以下のような見解を得た。それは,「新しい公共(空間)」政策言説とは,どのポジションが主調を成したのかによって揺れを伴ったものとなっており,第1期:ロールアウト新自由主義型言説の形成,第2期:ロールバック新自由主義型言説の隆盛,第3期:ロールアウト新自由主義型言説の実現,第4期:「新しい公共(空間)」政策言説の停滞,として時期区分することが可能である,というものである。そして最後に,ロールアウト新自由主義とその言説―具体的には主に松井孝治が提唱・推進した「公共性の空間」と「新しい公共」―は,従前の研究では看過されがちであったことに触れ,その問題構成を浮き彫りにする統治性研究の重要性について言及した。

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