著者
長岡 真吾
出版者
富山大学ヘルン(小泉八雲)研究会
雑誌
ヘルン研究 (ISSN:24328383)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.36-39, 2017-03

ラフカディオ・ハーン(1850-1904)の研究者である牧野陽子は『神々の国の首都』(平川祐弘訳)の「解説」のなかで、ハーンが日本人読者に受け入れられる理由について次のように述べている。「ハーンの叙述には、日本を見る目の暖かさと、外見ではなしにその奥の心までくみとる深い理解力がにじみでており、彼の描く明治日本の風物は魂の郷愁に似た懐かしさを読者に覚えさせ、そこには現代日本人の忘れかけた古き良き日本の姿があるといえる」(387)。しかし、日本からすれば異文化出身であるハーンが、なぜ日本人読者に「奥の心までくみとる深い理解力」があると感じさせるのであろうか。あるいは、そのように読者に感じさせるハーンの文章にはどのような特徴があるのだろうか。

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