著者
前原 正美
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
no.47, pp.601-620, 2015

本論文では,①豊臣「政権」が公武合体思想に基礎づけられていること,②ゆるぎない豊臣「政権」の構築のために,石田三成は豊臣「家」の構築が不可欠である,と考えたが,秀吉は,秀頼の誕生後,豊臣「家」の一元化を企図したため,かえって豊臣「家」の瓦解の原因をつくってしまったこと,③豊臣「政権」の特質である公武合体思想において,「公」の主たる意味内容は預治思想にもとづく諸大名に対する土地所有権=土地使用権の強化を目指す内容となっていること,したがって豊臣「政権」の主たる政策もまた,土地所有権の改革に主たる比重が占められていること,さらに「武」の主たる意味内容もまた土地問題=領地問題の内容となっていること,そのために秀吉は朝鮮出兵を余儀なくされたこと,④豊臣「政権」は天下人豊臣秀吉と「政権」中枢の石田三成らによって構成されていたが,このことが武力拡大路線(土地=領地の拡大路線)を目指す秀吉派と国内の政治安定を優先する平和路線の石田三成派との政治的対立構図を生みだし,その結果,豊臣「政権」の 分裂の原因を生みだしてしまったこと,⑤全体としていえば,石田三成にとっては,何よりも「大一」の政治思想としての天の視点=「公」の視点に立脚した人生の絶対的視点に立脚した政治を司ることが重要視されていること,を明らかにした。

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こんな論文どうですか? 石田三成に見る豊臣「政権」の公武合体思想と土地問題 : 現代日本の政治経済学研究の一環として (創立50周年記念号)(前原 正美),2015 https://t.co/7a1Y8gMjHn

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