- 著者
-
齋藤 道彦
- 出版者
- 中央大学人文科学研究所
- 雑誌
- 人文研紀要 (ISSN:02873877)
- 巻号頁・発行日
- no.85, pp.1-52, 2016
南シナ海の領有権をめぐる歴史としては、第一期、領有権は問題にならなかったはずであるが、現在、中華人民共和国が漢代から中国の固有の領土だったなどと主張している前近代、第二期、清朝・中華民国が領有を主張した時期、第三にフランスが一九-二〇世紀にインドシナ地域を植民地化した時期、第四に日本が二〇世紀前半に統治した時期、第五に日本の敗戦後、中華民国が領有権を主張し、一九五〇年代以降、中華人民共和国がそれを引き継いで領有権を主張しているが、フィリピン・ベトナム・マレーシアなども領有権を主張し、対立して今日に至っている時期、そして第六に中華人民共和国が礁を埋め立てて建設した人工島によって領土・領海を主張しているが、アメリカなどが人工島建設による領土・領海主張は国際法違反と指摘している現在の時期などに分けられる。それらについて主として浦野起央の資料集によって整理を行なった。