著者
牧 裕夫
出版者
作新学院大学
雑誌
作大論集 (ISSN:21857415)
巻号頁・発行日
no.7, pp.137-149, 2017-03

<要約> 計画と実践的行為の関係について人工知能の研究者であるL.C.Suchmanは「計画を実践する行為はその都度的な即興的行為による」と指摘した。支援過程がこの即興的行為によるとすれば、職業リハビリテーション支援者が実践的行為の中で体験する「逐次的な相互作用」を余剰的な効果として位置づけることはできない。前研究で、牧は2つの事例からその「逐次的な相互作用」に基づき「学習の身体化」「ギブ・アンド・テイク関係」「希望の共有」等の制御要因を指摘した。本論では、これらの理論的背景として状況論アプローチの諸論が職業リハビリテーション支援をどのように拡張しえるのか、その方向性を示す。J.Gibsonのアフォーダンス理論から、実際に利用者を支援する実践的行為では「逐次的な相互作用」によるとし、学習を拡大するために、試行錯誤行為による過程が必要条件であることを指摘する。そこで、計画場面と実践場面では別な構造を有するシステムとして「既存(制度)システム」「個別(計画)システム」「現場(状況)システム」の3つのシステムを提示する。特に「現場(状況)システム」で試行錯誤による相互作用を拡張しえる理論的枠組みとして状況論アプローチであるJ.laveの「正統的周辺参加」、L.Vygotskyの「発達の最近接領域」と職業リハビリテーション支援の関連について検討した。

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