著者
田所 摂寿
出版者
作新学院大学
雑誌
作大論集 (ISSN:21857415)
巻号頁・発行日
no.7, pp.67-82, 2017-03

要約 本論文では、"カウンセリングコンピテンス"という概念を中心として、カウンセラー教育プログラムについて検討を行った。カウンセラー教育において重要な概念となる「科学者−実践家モデル」や、心理臨床実践におけるエビデンスの扱い方についても概説した。本論文のキー概念であるカウンセリングコンプテンスの要因としては、①知識(knowledges)、②素質と経験(senses and experiences)、③人間観(哲学)と態度(veiwof human nature and attitudes)、④スキル(skills)、⑤臨床実践量(practices)の5つを取り上げ、それぞれの要因について詳細な説明を試みた。併せて、これらの要因を「カウンセリングの質」を測るための計算式に表現することも試みた。今後の課題としてはカウンセリングコンピテンスを測定する尺度を作成し、実証していくことが挙げられた。
著者
宇田川 真智子 松本 秀彦
出版者
作新学院大学
雑誌
作大論集 = Sakushin Gakuin University Bulletin (ISSN:21857415)
巻号頁・発行日
no.2, pp.249-260, 2012-03-15

要 約通常学級に在籍するLD傾向のある児童に対し算数文章題の指導を行い、その躓きを分析した。分析には、算数の解決過程を認知モデルに沿って分析し開発されたCOMPASSを使用した。それに基づき、指導教材には、文章概念化を援助するために、筋道を立てて考えるための「手順書」と、類似問題への転移を促すアプローチである文章を概念化し立式につなげる「言葉式」を採用した。また、文中の表現と用いる演算の対応を示した「演算子表」を自作して使用した。それにより、メタ認知のモニタリング効果と文章概念化から数式化に至る解決過程において問題スキーマの促進が見られた。
著者
田所 摂寿
出版者
作新学院大学
雑誌
作大論集 = Sakushin Gakuin University Bulletin (ISSN:21857415)
巻号頁・発行日
no.7, pp.67-82, 2017-03-15

要約 本論文では、“カウンセリングコンピテンス”という概念を中心として、カウンセラー教育プログラムについて検討を行った。カウンセラー教育において重要な概念となる「科学者−実践家モデル」や、心理臨床実践におけるエビデンスの扱い方についても概説した。本論文のキー概念であるカウンセリングコンプテンスの要因としては、①知識(knowledges)、②素質と経験(senses and experiences)、③人間観(哲学)と態度(veiwof human nature and attitudes)、④スキル(skills)、⑤臨床実践量(practices)の5つを取り上げ、それぞれの要因について詳細な説明を試みた。併せて、これらの要因を「カウンセリングの質」を測るための計算式に表現することも試みた。今後の課題としてはカウンセリングコンピテンスを測定する尺度を作成し、実証していくことが挙げられた。
著者
藤本 一男 山尾 貴則
出版者
作新学院大学 作新学院大学女子短期大学部
雑誌
作大論集 = Sakushin Gakuin University Bulletin (ISSN:21857415)
巻号頁・発行日
no.5, pp.385-409, 2015-03-15

概 要 本稿は、本学人間文化学部で開講されている「社会調査及び実習1」で実施された調査の報告である。調査のテーマは中学生・高校生の携帯電話利用実態の把握であるが、前回、前々回(2013、2012実習)と同様に、それらを踏まえながらも「携帯電話利用の中からどのようなコミュニケーション・ルールが見出されるか」を中心的な調査課題としている。今回は更にLINE利用に関する質問を追加し、対面/非対面コミュニケーションの選択が、性別や学年(年齢)といった回答者属性によるものと、LINEなどの利用/非利用によるものに区分できる可能性の示唆を得た。加えて、それを踏まえて、リテラシー教育の課題をさぐる手がかりを提示する。
著者
田所 摂寿
出版者
作新学院大学
雑誌
作大論集 = Sakushin Gakuin University Bulletin (ISSN:21857415)
巻号頁・発行日
no.8, pp.49-63, 2018-03-15

本論文の目的は「カウンセラー」という専門職のアイデンティティについて、歴史や定義を振り返ることによって再検討し、明確に構築することを試みたものである。本論文では、日米の歴史の変遷を概観し、それぞれの団体や論文が提示するカウンセリングの定義についてまとめた。その上で、日本におけるカウンセリング実践者およびカウンセラー教育者として、最重要であると考える6つの課題をまとめた。①カウンセラーのアイデンティティを明確に確立し、カウンセリングの定義を公に示し、理解を広める努力をしなければならない。②カウンセリングのそれぞれの専門分野を尊重し、カウンセラーとして統一見解に至った発言をしなければならない。③カウンセラー教育プログラムは、実証的データに基づく専門知識と専門技術を提供しなければならない。④カウンセリング専門団体は、最前線の実践家を団体の意思決定に組み入れ、研究と実践が乖離しないように努力しなければならない。⑤カウンセラーは、研究者-実践家モデルに忠実であり、個々人の状況に応じた形で研究に関わるように努めなければならない。⑥カウンセラーは、エビデンスに基づき倫理的な実践を行わなければならない。
著者
天尾 久夫
出版者
作新学院大学
雑誌
作大論集 = Sakushin Gakuin University Bulletin (ISSN:21857415)
巻号頁・発行日
no.12, pp.85-103, 2021-02-15

本論の結論を要約して述べれば、中国の北京オリンピック誘致したときの経済効果は、中国GDPを押し下げる効果が確認できた。ブラジルのリオオリンピック誘致では、GDPへの効果は確認されなかったが、イギリスのロンドンオリンピック誘致では、GDPの押し上げる効果が統計的に有意な意味で確認された。 オリンピック誘致によって、消費や投資への影響では、中国では投資について統計的にやや弱い意味で有意な結論ではあったが、所得から投資への反応速度が高まるが、投資水準を押し下げる効果が確認された。ブラジルのリオオリンピック誘致では投資については、中国同様に所得から投資への反応速度が高まり、国全体の投資水準を押し下げる効果が統計的に有意な意味で確認された。ロンドンオリンピック誘致では消費と投資への波及効果は統計的意味から確認されなかった。
著者
牧 裕夫
出版者
作新学院大学
雑誌
作大論集 (ISSN:21857415)
巻号頁・発行日
no.7, pp.137-149, 2017-03

<要約> 計画と実践的行為の関係について人工知能の研究者であるL.C.Suchmanは「計画を実践する行為はその都度的な即興的行為による」と指摘した。支援過程がこの即興的行為によるとすれば、職業リハビリテーション支援者が実践的行為の中で体験する「逐次的な相互作用」を余剰的な効果として位置づけることはできない。前研究で、牧は2つの事例からその「逐次的な相互作用」に基づき「学習の身体化」「ギブ・アンド・テイク関係」「希望の共有」等の制御要因を指摘した。本論では、これらの理論的背景として状況論アプローチの諸論が職業リハビリテーション支援をどのように拡張しえるのか、その方向性を示す。J.Gibsonのアフォーダンス理論から、実際に利用者を支援する実践的行為では「逐次的な相互作用」によるとし、学習を拡大するために、試行錯誤行為による過程が必要条件であることを指摘する。そこで、計画場面と実践場面では別な構造を有するシステムとして「既存(制度)システム」「個別(計画)システム」「現場(状況)システム」の3つのシステムを提示する。特に「現場(状況)システム」で試行錯誤による相互作用を拡張しえる理論的枠組みとして状況論アプローチであるJ.laveの「正統的周辺参加」、L.Vygotskyの「発達の最近接領域」と職業リハビリテーション支援の関連について検討した。