著者
神谷 光信
出版者
関東学院大学キリスト教と文化研究所
雑誌
キリスト教と文化 : 関東学院大学キリスト教と文化研究所所報 (ISSN:13481878)
巻号頁・発行日
no.15, pp.57-66,

遠藤周作は、「コウリッジ館」(1955年)、「異郷の友」(1959年)、「ルーアンの夏」(1965年)、「黒い旧友」(1975年)の4作において、ポーランという同名の黒人を登場させている。作者自身を思わせる日本人が1950年代のフランス留学時に知り合ったという設定も同一である。遠藤は、留学時代にフランス人の有色人差別を体験し、有色人種であることを日本人の根源的事実として受け止めていた。遠藤は、20年をかけた「ポーラン・シリーズ」を通して、経済的自立とともに卑屈から尊大へと変容する黒人像を造型し、ポストコロニアルの時代になっても、なお人間として対等に相対することが困難な白人/有色人の関係を浮き彫りにしたのである。

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