著者
由良 亮 浜野 純 萩原 勇人 楠瀬 千春
出版者
中京学院大学中京短期大学部
雑誌
中京学院大学中京短期大学部研究紀要 = Bulletin of Chukyo Junior College (ISSN:21877033)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-10, 2016

6軸モーションセンサーを用いて包丁操作を記録・解析し,可視化する方法を検討した。 包丁の柄と同程度の大きさのセンサーモジュールを作成した。センサーモジュールは包丁の刃側と柄側の動作を同時に記録することができるように,2個のセンサーを装着した。そして,これを制御するプラットフォームとして用意したRaspberry Pi2 model Bに,I2 Cインターフェースで接続し,記録装置を作成した。そして,記録条件を検討した。記録速度を測定したところ,通信速度400 kbps において,445.03 - 395.10 Hzで記録できることを確認した。この結果から,200 Hz(サンプリングレート5msec)で記録条件を設定した。 これを用い,キュウリの小口切り,人参と大根のイチョウ切り,大根の桂むきの動作を記録した。そして,得られた信号を高速フーリエ変換(FFT)にかけ,比較を行った。 いずれの操作においても,包丁操作のパワースペクトルは,加速度・角速度共に15 Hz より低い周波数領域に集中していた。また,加速度は刃側と柄側の強度に差異が認められたのに対し,角速度ではわずかだった。 キュウリの小口切りでは,加速度・角速度のパワースペクトルに倍音成分が認められた。人参のイチョウ切りでは,包丁の切断動作に伴う軸方向で,加速度・角速度スペクトルに特徴的なピークが確認された。しかし,大根のイチョウ切りでは,一定の傾向は見られなかった。大根の桂むきでは,刃先の円弧運動に相当する角速度スペクトルが特に強く認められた。 以上の結果から,本機を利用することで,包丁操作の特徴を捉え,可視化できる可能性が示された。

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