著者
荒井 文雄
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 = Acta humanistica et scientifica Universitatis Sangio Kyotiensis (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
no.50, pp.385-407, 2017-03

東京電力福島第一原子力発電所の過酷事故から数年が経過し,放射能汚染地から避難した住民は,原子力エネルギー政策の継続を掲げる政府の方針によって,被災地の復興のために,ふるさとへの帰還をうながされている。この論考では,原発事故後の帰還と復興をうながす言説を,<象徴暴力>の観点から分析する新たなアプローチを取った。<象徴暴力>とは,フランスの社会学者ピエール・ブルデューによる概念で,被支配者が自分から支配を正当化して受け入れるメカニズムの中心をなす。帰還と復興を暗示的に推奨する新聞記事の分析をとおして,これらのメディア言説が<象徴暴力>の特性を持ち,その効果を発揮していることを示した。なお,「福島第一原発事故関連報道と象徴暴力(下)」では,論考全体のうち,後半部5・6 章を分割してとりあげた。

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"「どうにもならないことでストレスを抱えたくないから,あえて放射能汚染がらみの情報には接しないようにする,という価値観」…は,…<不可知性>にすらたよる心理的転回を考慮に入れれば十分理解でき" →ブクマ

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