著者
施 桂栄
出版者
関東学院大学経済経営学会
雑誌
経済系 = Kanto Gakuin journal of economics and management : 関東学院大学経済経営学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.273, pp.58-69, 2018-03

本研究では,1990年代に生まれた日本と中国の大学生を対象とし,それぞれの心理的環境(測定項目:孤独感,自尊心,自己開示)と社会的行動(測定項目:対人信頼感,集団主義,向社会行動)について質問紙を用い比較的な調査を行った。日本人大学生152名と中国人大学生236名が本調査に参加した。分析の結果,(1)心理的環境:「孤独感」においては,日中大学生の間に顕著な差が見られなかったが,両方ともやや高かった。「自尊心」と「自己開示」においては,日本人大学生よりも中国人大学生の方が自分の能力や価値を高く評価し,現実的な自己に関する情報を多く提供することが検証された。(2)社会的行動:「対人信頼感」においては,日中大学生の間に顕著な差がなかったが,両方とも低かった。「集団主義」では,中国人大学生が日本人大学生よりも顕著に高かった。中国人が「個人主義的」,日本人が「集団主義的」という従来の主張と異なって逆の結果となっている。また,「向社会的行動」では,日本人大学生と比べ,中国人大学生の方が他者を助ける意欲が強いと見られたが,両方とも評価得点がやや低かった。今後,日中両国の社会や経済,文化など多様な視点からその背景的影響要因を検証することが必要となるだろう。

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