- 著者
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海津 一朗
- 雑誌
- 和歌山大学教育学部紀要. 人文科学 (ISSN:1342582X)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.1, pp.81-86, 2018-01-31
所謂「元寇」「弘安の役」において高野山の住僧集団が博多志賀島に下向して異国降伏祈禱を行なったという南院浪切不動伝説についての言説を史料批判する。高野山には鎌倉幕府の出先機関・金剛三昧院があり、恩賞奉行の安達泰盛勢力はそこを拠点に対元戦争の戦争指導を行っていた。その中心人物こそ高野検校賢隆であり、彼が破格の出世を遂げた背景は、志賀島下向をおいてほかにはないことを論証した。志賀島の神戦は真実であった。