著者
小林 元気
出版者
留学生教育学会
雑誌
留学生教育 (ISSN:13452398)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.59-68, 2017-12

2000 年代の後半から,「内向き」という言葉が,若者の海外志向の低下という文脈において,特に,海外留学者数の減少の原因として語られるようになり,政府の海外留学政策の基本認識としても定着している。本論は,そのような「内向き」イメージが社会的に構成されたものであるとの前提に立ち,新聞・雑誌記事の言説を分析した。結果,「内向き」イメージは,2009 年の政府資料をきっかけとして社会的に構成され,社会に定着したことが明らかになった。また,「内向き」言説の根拠として言及される日本人の海外留学に関する各種統計について,多様な留学の定義を整理しながら検討した結果,エリート層が中心となる長期留学が減少する一方,非エリート層中心の短期留学が増加していると考えられる点が示唆された。最後に,長期留学の減少について若者の「内向き」志向と一般化してしまうことの誤謬と,教育格差の視座から短期留学に着目する必要性について指摘した。

言及状況

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"高学力・高所得のエリート層が中心となる長期留学が減少する一方で,国内大学に進学した非エリート層が中心となる短期留学が急激に増加していると考えられ""社会階層との関連による格差化の可能性" →格差案件。

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【論文公開】2017年4月に初めて投稿した論文がウェブ上で公開されました。コメントやご指摘をいただけると嬉しいです。 ▼小林元気, 2017, 「若年層の「内向き」イメージの社会的構成プロセスと海外留学の変容」『留学生教育』第22号, pp.59-68. CiNii 論文 -  https://t.co/WAFFG17SB9 #CiNii

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