著者
安藤 淑子
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
no.46, pp.1-18, 2018-03-01

古代バラモン思想においてkamaは「欲する」という心の働きを意味し、これが人間の行為の根本的動因と見なされていた。一方、原始仏教におけるkamaはこれとは異なる語義・用法を有していた。すなわち、原始仏教では最古層の経典よりすでにkamaは単なる心の働きではなく、認識と感受によって変貌した外的事物それ自体をも意味していた。言うなれば、「対象」と「心の働き」が一体となった具体的な諸現象を、kamaという語によって指し示していたのである。このような語義の特徴を反映して、原始仏教経典におけるkamaはほとんどの場合複数形で用いられている。原始仏教心の働き対象複数形

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