著者
朴 兪美
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.138, pp.31-46, 2018-03

本研究では,地域福祉が制度・政策によって拡張されるなかで,地域福祉推進の中核機関に求められている機能・役割,組織の位置づけ等について探る.そのために,日本の社会福祉協議会と韓国の社会福祉館を取り上げ,両機関の相対化を通じた分析を行う. 日本の社会福祉協議会と韓国の社会福祉館は,両国において地域福祉推進を担う中核機関として制度・政策によって形成されてきた組織である.半官半民という独自の位置づけをもって展開されてきた両機関には,福祉サービスの「市場化」と「地域化」が同時に進むなかで,新たな機能・役割が求められている.組織の新たな存在意義が問われている今日の状況を「危機」と捉え,両機関の歴史的文脈と危機状況にかかる「重大局面」を相対化し分析する. その結果,両機関における半官半民という組織の位置づけについて,官と民をつなぐ媒体という積極的な解釈の必要性を示す.官と民をつなぐ媒体の機能・役割は,官と民の動的均衡をなすことであり,それを果たすには組織マネジメントだけではなく,地域マネジメントが求められる.

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