著者
長縄 洋司
出版者
東洋大学大学院
雑誌
大学院紀要 = Bulletin of the Graduate School, Toyo University (ISSN:02890445)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.343-358, 2017

Alcoholics Anonymous(AA)など「12のステップ」と「12の伝統」を用いる「12ステップ系セルフヘルプグループ」の効果については,すでに報告もある.本論は,近年のものを中心に海外,および日本における先行研究を改めて精査し,現時点でどのような効果があると言及できるか,それに基づけば,今後,日本においてどのような研究の実現が待たれるといえるのかを検討した.その結果,専門的治療との組み合わせで断酒等に関する一定の効果増進は認められるが,特異的効果については証明されておらず,他の専門的介入と共通する要素の抽出や,断酒等の医療的尺度に留まらない,より包括的な視点からの有効性に関する評価が求められることが判明した.日本においては研究の絶対数が少ないことから,将来的な他の治療的介入との無作為化比較試験や新たな評価尺度の開発を視野に入れつつ,システムや機能に関する理解を深めるところから取り組むべきであると考察した.This manuscript is a narrative review of the papers about effectiveness of twelvestep self-help groups, such as Alcoholics Anonymous(AA), in Japan and the other countries. The results show that, twelve-step self-help groups have effectiveness to abstinent clients with using professional care, but there are problematic evidences of specificity to abstinent by meta-analysises. We consider necessity to research common factors from professional care to twelve-step, and to evaluate of the effectiveness more total view and scale. In Japan, there were few research of them, and we may start to analysis the system and function of twelve-step programs.

言及状況

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@bunshun_online こちらの論文では12ステップの回復率は20%前後であるとされています。 12ステップ系セルフヘルプグループの効果について : 日本,および海外における先行研究の比較から https://t.co/wseDR9RXK1

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