- 著者
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建部 宏明
- 出版者
- 拓殖大学経営経理研究所
- 雑誌
- 拓殖大学経営経理研究 = Takushoku University research in management and accounting (ISSN:13490281)
- 巻号頁・発行日
- no.111, pp.87-105, 2018-02-28
過去の一連の拙稿において,海軍工廠の原価計算規程を考察対象としてきた。とりわけ「海軍工作庁における会計」では,海軍工廠,航空廠,技術研究所,火薬廠,各要港部工作部などを統括し,海軍に所属する艦船や兵器の造修,実験,研究を掌る海軍工作庁における会計システムの全体像を明らかにした。明治22 年「会計法」の施行後,海軍の作業場の会計は,材料資金を除いて特別会計から一般会計となった。その後,火薬廠,燃料廠は,特別会計とされた。燃料は海軍にとって最も重要な軍需物資であり,創設当時から燃料廠の整備が行われた。これまで,印刷工場,海軍工廠,鉄道工場の各会計を瞥見してきたので,海軍燃料廠の会計システムも明らかにしておきたい。本稿では,『海軍燃料廠作業會計ノ梗概』に基づいて,海軍燃料廠の会計を特別会計と原価計算の側面から考察する。