著者
後藤 健志
出版者
くにたち人類学会
雑誌
くにたち人類学研究 (ISSN:18809375)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-19, 2018

アマゾニアの熱帯雨林に産する向精神性の医薬であるアヤワスカは、インディオの精神文化を扱った民族誌の中では、比較的なじみの深い主題として記述されてきた。アマゾニアの生態系とは、植民者たちが到来する以前から、在来の園芸農業による改変を被りながら形成されてきた自然と人間との複合体である。アヤワスカの原料となる植物種もまた栽培種として、そこでの伝統的な生業体系の中に組み込まれてきた。本稿では、植民者たちの間で創設されたアヤワスカを実践する新宗教が、アヤワスカの慣習がもともと存在してこなかったマト・グロッソ州へと展開していく過程について、「園芸」という側面に注目して考察する。アヤワスカの摂取を通じて自己の内的世界を変性させた主体が、やがて現代的な熱帯農業の技術と融合させながら、自己を取り巻く外的世界をアマゾニア的な構成態へと再編していく過程について、筆者のフィールド・データをもとに素描する。

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