著者
奥山 忠信 Tadanobu OKUYAMA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 経済経営学部篇 = Bulletin of Saitama Gakuen University (ISSN:21884803)
巻号頁・発行日
no.17, pp.1-13, 2017-12

物神性論の課題は、資本主義経済あるいは商品経済の特徴を、人と人との関係が物と物との関係になっていると把握し、その根拠を解明することにある。魅力的な課題だが、経済学がこの課題をどのように受け止めるかは確定していない。しかし、この課題は青年期のマルクスの疎外論や唯物史観に基礎を置くものであり、マルクスにとっては欠くことのできない課題であった。とはいえ、その理論内容の形成は、『資本論』を待たなければならない。今日の経済学にこの論理をどのように活かせるかを考察するには、何よりもこの難解な論理を解読する必要がある。本稿は、物神性論の解読という課題に対して、理論形成史を整理することでアプローチするものである。本稿の結論は、物神性論の課題自体は、初期マルクスの疎外論の中に明確に記されているが、その論理は、『資本論』とりわけ価値論の論証と価値形態論が確立することで同時に確立する、ということにある。

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