著者
倉持 和雄
出版者
東京女子大学論集編集委員会
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.125-146, 2017-03

この論文は長期間、権威主義体制下に置かれた韓国において、(1)キリスト教が民主化運動にどう関わったのか、(2)このキリスト教の関わりを民主化運動としてどう評価できるか、(3)こうした関わりをしたキリスト教を韓国キリスト教界のなかでどう評価できるか、について明らかにしようとしている。1960年、4・19学生革命が起きて李承晩政権を倒壊させた。韓国における最初の民主化運動であった。この民主化運動においてキリスト教は組織として何の寄与もしていなかった。否、この時期の韓国キリスト教は李承晩を全面的に支持し続けてきた。それはキリスト教が植民地時代に日本によって、また解放直後、38度線以北の共産化過程で共産主義から迫害を受けたのに対して李承晩政権はキリスト教界に対して多大な支援を与えたからである。こうしてこの時期の韓国キリスト教の性格は政権癒着的であり、反共的なものであった。しかし4・19学生革命は韓国キリスト教に大きな衝撃となった。以後、韓国キリスト教は転換をとげていくことになる。

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