著者
佐々木 陽子
出版者
鹿児島国際大学福祉社会学部
雑誌
福祉社会学部論集 = Quarterly journal of welfare society (ISSN:13466321)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.1-12, 2015-01

科学技術の進展は法律上の親子関係、特に父子関係に二つの問題を投げかけた。一つは、生殖補助医療による子の親は誰かという問題である。生殖補助医療をめぐる法整備がなされない中、最高裁判所は生殖補助医療による多様な親子関係を、自然生殖による親子関係を前提に明治時代に制定された民法の解釈から判断してきた。しかし、これらの判断は、生殖補助医療の急速な進展により、前提となっている自然生殖による親子関係についての民法解釈をめぐる疑義に答えが出されないままなされた面がある。科学技術の進展がもたらしたDNA鑑定の精度の向上は、この前提である自然生殖による親子関係を揺さぶるという、いま一つの問題を投げかけた。最高裁は、婚姻中に妻が懐胎して生まれた子については血縁主義を貫かず、婚姻制度を重視することで、自然生殖によって生まれた子と、生殖補助医療により生まれた子を含めた親子法制の整合性を図ることを選択したといえる。

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[family][law][Japan] 佐々木 陽子 (2015) _福祉社会学部論集_ 33(3):1-12 ISSN:13466321

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佐々木 陽子 (2015) _福祉社会学部論集_ 33(3):1-12 ISSN:13466321 / “CiNii 論文 -  婚姻制度と血縁主義 : 最高裁判所判決をとおして考える” http://t.co/2xjM4iOUTY

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