- 著者
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内田 司
- 出版者
- 札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
- 雑誌
- 札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities
- 巻号頁・発行日
- no.105, pp.165-181, 2019-02-25
現在,経済のグローバル化にともなう経済的不均等発展によって,さまざまな社会問題が発生している。経済格差の拡大や雇用の不安定化などもそうした問題のひとつである。そうした状況は,生活者にとって極めて理不尽と感じられるようなこともあるのではないだろうか。それゆえ,生活者にとって,現代社会においてどのような生き方をしていけばよいのかという問いは,差し迫った問いとなっているように思われる。本稿は,現代社会における生き方に関する社会学的研究のための予備的考察を行うことを目的としている。その考察の手始めとして,現代社会と同じように極めて理不尽な状況があった戦前の日本社会に生きた,三人の作家の生き方を検討するとともに,その検討を踏まえ,生き方の社会学的研究の対象の明確化を試みたいと思う。本稿では,3人の作家のうち小林多喜二の生き方を検討するとともに,生き方の社会学的研究対象の明確化を行うことになる。研究ノートResearch Note