著者
大橋 良枝
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 = The journal of Seigakuin University (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.1-17, 2019

知的障害特別支援学校に指導の難しい児童生徒が急増し,教師の指導上の混乱や精神健康上の問題が顕著となったのを受け,大橋(2017)は知的障害特別支援学校教師と,投影性同一化力動を頻用するため指導が困難である児童生徒との間に起きる問題力動を説明するモデル(EMADIS)を示した。しかし,このモデルは児童生徒の要因を中心に描いたものであり,また,教師の「頼らない/頼れない」文化からすると運用しにくい側面があった。そこで本研究では事例資料のKJ法による分析を通して,このような児童生徒との間で発達促進的な関係を持てるようになるための教師側の要因を抽出し,モデルを修正することを目的として検討が進められた。その結果,モデルに対応する【病理的対象関係の反復】【発達促進的関係】とその間をつなぐ【展開位相】のユニットが得られ,それらは考察から,コア概念「主体性の回復プロセス」と対応して【主体性の喪失】【主体性の回復】および【展開位相】とユニット名の修正がなされた。これはうつなどに陥り精神健康上の問題を来した状態から,指導の難しい児童生徒への教育において効力感を感じる状態までを一連のプロセスとして描いており,教師のメンタルヘルス問題への一助となる結果となった。

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