著者
深澤 俊
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.77, pp.109-130, 2013

デイヴィッド・ロッジの『作者だ、作者』は、文学史上の大人物であるヘンリー・ジェイムズを素材に、伝記ではなく小説として作りあげたものである。ジェイムズは一時期、劇作家として表舞台に出ることを望んでいたが、戯曲『ガイ・ドンヴィル』公演初日に「作者だ! 作者!」の歓声に応えて舞台に立つと、ひどいブーイングにさらされて衝撃を受け、以後劇作家の道を断念する。そしてジェイムズは、後期の偉大な小説群を生み出すことになる。ロッジはこの事実に焦点を当て、当時の売れっ子であったデュ・モーリェとジェイムズとの交流に比重をかけて小説化した。この小説の背景となるヴィクトリア朝の演劇事情、大当たりをとったデュ・モーリェの小説『トリルビー』に言及しながら、ロッジの小説に込めたメッセージを解きほぐす。

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

こんな論文どうですか? デュ・モーリェとヘンリー・ジェイムズ : デイヴィッド・ロッジ『作者だ、作者』の意味するもの(深澤 俊),2013 https://t.co/RYTvVHvW4T デイヴィッド・ロッジの『作者だ、作者』は、文学史上の大人物で…

収集済み URL リスト